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金利1%上昇でキャッシュフローはいくら変わる?一棟収益物件の融資を数字で比較

一棟アパートや一棟マンションなどの収益不動産を購入するとき、

「金利が1%上がると、実際どのくらい収支が悪くなるの?」

と疑問に思ったことはないでしょうか。

最近は不動産投資でも金利上昇を意識する場面が増えています。

しかし、

「金利1.5%と2.5%では1%しか違わない」

「利回り6%あるから、金利が少し上がっても大丈夫だろう」

と考えてしまうと、実際のキャッシュフローを見誤る可能性があります。

特に1億円、2億円といった大きな借入を利用する一棟収益物件では、わずかな金利差でも年間返済額にすると大きな違いになります。

今回は、

借入1億円・融資期間30年

というモデルケースを使い、

金利が1%上昇するとキャッシュフローがどのくらい変わるのか

を具体的に計算してみたいと思います。

 

まず結論|1億円を30年借りると金利1%の差は年間約60万円

最初に数字を見てみましょう。

借入条件を、

借入額:1億円
融資期間:30年
返済方法:元利均等返済

とします。

概算すると、

金利 月々の返済額 年間返済額
1.5% 約34.5万円 約414万円
2.0% 約37.0万円 約444万円
2.5% 約39.5万円 約474万円
3.0% 約42.2万円 約506万円

つまり、

1.5% → 2.5%

へ金利が1%上昇すると、

月々の返済額は約5万円増加。

年間では、

約60万円

返済負担が増える計算です。

収益不動産では、この約60万円がそのままキャッシュフローを圧迫します。

 

「金利が1%上がる」とは借入額の1%を払うことではない

ここは意外と誤解されやすいポイントです。

借入1億円で金利が1%上昇すると、

1億円×1%=年間100万円

だから、

「年間返済額が100万円増える」

と思われるかもしれません。

しかし、元利均等返済の場合はそのような単純計算にはなりません。

毎月の返済額には、

元金+利息

が含まれています。

さらに返済するたびに元金残高が減っていくため、返済期間や金利によって返済額が決まります。

したがって、

金利1%上昇=年間返済額が借入額の1%増える

という意味ではありません。

実際の融資条件を使って返済額を計算する必要があります。

 

ではキャッシュフローはどう変わる?

次に一棟アパートを想定してみます。

例えば、

物件価格:1億2,000万円
年間賃料収入:720万円
表面利回り:6.0%

とします。

運営経費を年間150万円とすると、

年間賃料収入720万円

運営経費150万円

NOI 570万円

とします。

※ここでは分かりやすくするため、税金や減価償却等を考慮しない簡易計算とします。

この物件を借入1億円・30年で購入した場合を比較します。

 

金利1.5%なら年間CFは約156万円

年間NOIが570万円。

年間返済額が約414万円。

ですから、

570万円-414万円=156万円

年間の税引前キャッシュフローは、

約156万円

となります。

月平均なら、

約13万円

です。

 

金利2.5%になると年間CFは約96万円

同じ物件。

同じ賃料。

同じ経費。

同じ借入額。

でも金利だけを2.5%にすると、

年間返済額は約474万円です。

したがって、

570万円-474万円=96万円

年間キャッシュフローは、

約96万円

となります。

金利1.5%のときは156万円でした。

つまり金利が1%上昇しただけで、

年間CF 156万円 → 96万円

となり、

約60万円、約38%減少

する計算です。

ここが非常に重要です。

 

金利は1%上昇でもCFへの影響は1%ではない

先ほどの例では、

金利は、

1.5% → 2.5%

です。

しかし年間キャッシュフローは、

156万円 → 96万円

です。

約38%減っています。

つまり、

金利の上昇率とキャッシュフローの減少率は同じではありません。

もともとのキャッシュフローが薄い物件ほど、金利上昇の影響を大きく受けます。

 

借入2億円なら影響はさらに大きくなる

次に借入額を2億円にしてみます。

同じ30年返済なら概算で、

金利1.5%

月々約69万円

年間約828万円

金利2.5%

月々約79万円

年間約948万円

となります。

年間返済額の差は、

約120万円

です。

つまり借入額が大きくなるほど、金利上昇によるキャッシュフローへの影響も大きくなります。

一棟マンションや一棟ビルなど、数億円規模の物件を購入する場合には、金利0.5%、1%の差を軽視できません。

 

金利が上がっても家賃が同じだけ上がるとは限らない

ここも不動産投資では重要です。

金融機関から、

「金利を0.5%引き上げます」

と言われたからといって、

入居者へ、

「融資金利が上がったので家賃を5,000円上げます」

とは簡単にはいきません。

賃料は、

周辺相場

築年数

駅距離

設備

競合物件

入居需要

などによって決まります。

つまり、

金利は上昇しても、賃料収入はそのまま

という状況も十分考えられます。

その場合、増加した返済額はそのままオーナーのキャッシュフローを圧迫します。

 

空室が1室出たらどうなる?

さらに先ほどのモデルケースで考えてみましょう。

年間キャッシュフローは、

金利1.5%なら約156万円。

金利2.5%なら約96万円でした。

仮に1室の賃料が月8万円で、1年間空室になったとすると、

年間賃料減少は、

96万円

です。

すると金利2.5%のケースでは、単純計算すると年間キャッシュフロー約96万円がほぼ消えてしまいます。

もちろん実際には、空室期間、募集費用、原状回復費、経費の変化などもあるため計算はさらに複雑です。

しかし、

金利上昇によってCFの余裕が小さくなると、1室の空室や修繕が与える影響も相対的に大きくなる

ということです。

 

100万円の修繕が発生したら?

同じことが修繕でも起こります。

給湯器。

エアコン。

屋上防水。

外壁。

給排水設備。

共用部。

一棟アパートを保有していれば、さまざまな修繕が発生します。

年間キャッシュフローが300万円ある物件なら、100万円の修繕が発生しても一定の余裕があります。

しかし年間CFが96万円しかなければ、

100万円の修繕だけで、その年のCFがほぼなくなる

ことになります。

だからこそ、金利上昇局面では、

「返済できるか」だけではなく「返済した後にどのくらい余裕が残るか」

を見ることが重要です。

 

表面利回り6%・金利2.5%なら「3.5%儲かる」ではない

これもよくある誤解です。

例えば、

表面利回り6%

借入金利2.5%

なら、

6%-2.5%=3.5%

なので、

「3.5%利益が出る」

と考えてしまうことがあります。

しかし、この計算では不十分です。

表面利回りは、

年間賃料÷物件価格

です。

一方、融資金利は借入残高に対する利息です。

さらに融資返済には元金返済も含まれます。

そして不動産経営には運営経費があります。

したがって、

表面利回り-融資金利=キャッシュフロー

ではありません。

 

重要なのはNOIと年間返済額

そこで確認したいのが、

NOI

と、

年間返済額

です。

NOIは簡単にいうと、

賃料収入から不動産運営に必要な経費を差し引いた収益です。

そして、

NOI-年間返済額

を見ることで、融資返済後にどの程度の資金が残るのかを把握しやすくなります。

収益物件を見るときは、

表面利回り

だけではなく、

NOI → 返済額 → CF

まで確認する習慣をつけたいところです。

 

DSCRも確認したい

少し専門的になりますが、一棟収益物件では、

DSCR(Debt Service Coverage Ratio)

を見る方法もあります。

簡単にいうと、

物件の収益で借入返済をどの程度カバーできているか

を見る指標です。

先ほどの例では、

NOI570万円

年間返済414万円

なら、

DSCRは約1.38です。

一方、金利2.5%で年間返済474万円になると、

約1.20まで低下します。

同じ物件でも、金利が上がるだけで返済余力が小さくなることが分かります。

 

「今の金利」だけで収支を作らない

これから一棟収益物件を購入するのであれば、私たちは現在提示されている金利だけで収支を見るのではなく、

金利+0.5%

金利+1.0%

といったケースも試算しておくことが重要だと考えています。

例えば、

現在2.0%

なら、

2.5%

3.0%

まで試算してみます。

その状態でも、

返済できるのか。

修繕費を確保できるのか。

空室が発生しても耐えられるのか。

手元資金が残るのか。

を確認します。

 

固定金利と変動金利でも考え方が違う

融資条件を見る際には、固定金利か変動金利かも重要です。

変動金利の場合、将来的に金利が変わる可能性があります。

一方、一定期間の固定金利であれば、その期間中の返済計画を立てやすくなります。

ただし、

固定か変動か。

どちらが有利か。

ということは、単純には決められません。

適用金利、固定期間、借入期間、繰上返済条件なども含めて比較する必要があります。

 

金利が高い物件ではなく「CFに余裕がない物件」に注意

金利上昇局面で本当に注意したいのは、

金利が高いことそのもの

だけではありません。

例えば金利2.5%でも、

NOIが十分あり、年間返済後に大きなキャッシュフローが残る物件なら、投資として成立する可能性があります。

一方、金利1.5%でも、

購入価格が高すぎる。

賃料が割高設定。

空室が多い。

修繕費がかかる。

融資期間が短い。

という物件なら、キャッシュフローがほとんど残らないこともあります。

つまり重要なのは、

金利の数字だけを見るのではなく、その金利を入れても収益が成立する物件かどうか

です。

 

物件価格の交渉も金利上昇を踏まえて考える

金利が上がれば、同じ物件価格でも投資家のキャッシュフローは減少します。

そのため、

「この利回りなら買える」

ではなく、

「この融資条件なら、いくらまでなら買えるか」

という逆算も重要になります。

例えば1億2,000万円ではCFが薄い物件でも、

1億1,500万円なら投資基準を満たす。

ということもあります。

金利上昇局面では、

購入価格・融資・収益性を一体として考える

ことがより重要になります。

 

東京23区と埼玉・千葉でも金利の影響は変わる

前回の記事では、

「東京23区vs埼玉・千葉、一棟アパートを買うならどう違う?」

というテーマで比較しました。

例えば東京23区では、

物件価格が高い。

利回りが低め。

土地値が高い。

という物件が多くなりやすいため、借入額が大きくなる場合があります。

一方、埼玉・千葉では、

物件価格を抑えられる。

比較的高い利回りを狙える。

という物件もあります。

しかし築古物件では融資期間が短くなり、月々の返済額が大きくなることもあります。

つまり、

東京=金利に弱い

郊外=金利に強い

という単純な話ではありません。

借入額、利回り、融資期間をセットで比較する必要があります。

 

一棟収益物件は「利回り」から「CF」で比較する

物件を探していると、

A物件 利回り5.5%

B物件 利回り6.5%

C物件 利回り7.5%

と比較したくなります。

しかし本当に知りたいのは、

購入後にいくら残るのか

ではないでしょうか。

そこで、

物件価格

年間賃料

運営経費

NOI

借入額

金利

融資期間

年間返済額

年間CF

まで並べて比較します。

そうすると、

表面利回りが一番高い物件が、一番CFが高いとは限らない

ことが見えてきます。

 

金利1%上昇を甘く見ない

今回のモデルケースでは、

借入1億円・30年

の場合、

金利1.5%から2.5%へ1%上昇すると、

年間返済額は約60万円増えました。

借入2億円なら、

約120万円です。

そして重要なのは、

その60万円・120万円が、

キャッシュフローから毎年減っていく

ということです。

さらに、

空室。

修繕。

賃料下落。

固定資産税。

保険料。

管理コスト。

などもあります。

だからこそ金利上昇局面では、

「現在の条件なら返済できる」

ではなく、

「条件が多少悪化しても保有し続けられる」

物件を選ぶことが重要です。

 

一棟アパート・一棟マンションの購入をご検討の方へ

レジスタ合同会社では、東京23区を中心に、埼玉県・千葉県なども含め、

一棟アパート

一棟マンション

一棟ビル

などの収益不動産の売買仲介を行っています。

物件をご紹介する際には、

「表面利回りが何%か」

だけではなく、

自己資金はいくら必要か

どの程度の融資を想定するか

金利・融資期間を入れると返済額はいくらか

運営経費を引いた後にCFがどの程度残るか

金利が上昇しても保有できるか

といった視点も重要です。

「1億円を借りた場合の収支を見てみたい」

「金利2%と3%で比較したい」

「東京と埼玉・千葉の物件をCFで比較したい」

「自己資金5,000万円ならどの程度の一棟物件を検討できるか知りたい」

といった段階からでもご相談いただけます。

金利上昇局面だからこそ、

表面利回りではなく、実際に手元へ残るキャッシュフローを確認してから購入すること

が、これまで以上に重要になっています。

※本記事の返済額・キャッシュフロー等は元利均等返済を前提とした概算シミュレーションです。実際の返済額、融資条件、諸費用、税務上の取扱い等は金融機関・物件・購入者によって異なります。実際の投資判断にあたっては金融機関、税理士等の専門家へご確認ください。

 

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