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日本の食料自給率はなぜ低い?今、水耕栽培・植物工場が注目される理由
世界的な人口増加や異常気象、国際情勢の変化を背景に、「食料を安定して確保できるか」という問題が以前にも増して注目されています。
日本では、スーパーに行けば季節を問わず多くの食品が並んでいるため、食料不足を身近な問題として感じにくいかもしれません。しかし、その豊かな食生活の多くは海外からの輸入によって支えられています。
農林水産省が公表した令和6年度の日本の食料自給率は、カロリーベースで38%、生産額ベースで64%でした。つまり、私たちが日常的に摂取しているカロリーのうち、国内生産で賄われている割合は4割に届いていません。
こうした状況のなか、国内で食料を安定生産する方法の一つとして注目されているのが、水耕栽培による植物工場です。
今回は、日本の食料自給率が低い理由と、水耕栽培・植物工場が社会課題の解決にどのように貢献できるのかを、初心者の方にも分かりやすく解説します。

食料自給率とは?
食料自給率とは、国内で消費される食料のうち、どの程度を国内生産で賄えているかを示す指標です。
一般的にニュースなどで取り上げられることが多いのは、食品に含まれるカロリーを基準に計算した「カロリーベース食料自給率」です。
一方、国内で生産された食料の金額を基準に計算する「生産額ベース食料自給率」もあります。
令和6年度の数値は、次のとおりです。
- カロリーベース食料自給率:38%
- 生産額ベース食料自給率:64%
- 摂取熱量ベース食料自給率:46%
食料自給率は計算方法によって数値が異なりますが、いずれにしても、日本の食料供給が海外からの輸入に大きく依存していることに変わりはありません。農林水産省も、日本の食料自給率は諸外国と比較して低い水準にあるとしています。
日本の食料自給率が低い理由
日本の食料自給率が低い背景には、単に「農業をする人が少ない」という問題だけではなく、食生活や国土、農業構造など、複数の要因があります。
1.日本人の食生活が変化した
かつての日本では、米を中心とした食生活が一般的でした。
米は国内で生産しやすく、比較的高い自給率を維持している食品です。しかし、食生活の欧米化や多様化により、パン、麺類、肉類、乳製品、植物油などの消費が増えました。
これらの原料となる小麦、大豆、飼料用穀物、油糧作物などは、海外からの輸入に依存しているものが少なくありません。
農林水産省も、食料自給率が長期的に低下した主な要因として、米の消費が減少する一方、飼料や原料を海外に依存する畜産物や油脂類の消費が増えたことを挙げています。
2.畜産物も海外の飼料に支えられている
国内で育てられた牛、豚、鶏であっても、その飼料が海外から輸入されている場合があります。
そのため、肉そのものが国内生産であっても、飼料まで含めて考えると、海外への依存度はさらに高くなります。
食料自給率を考える際には、完成した食品だけでなく、その食品を生産するために必要な飼料、肥料、燃料、種苗なども含めて考える必要があります。
3.農地が限られている
日本は山地が多く、国土のすべてを農地として活用できるわけではありません。
人口に対して耕地面積が限られていることも、大量の食料を国内だけで生産することが難しい理由の一つです。農林水産省は、日本が輸入する食料や飼料の生産には、国内農地面積を上回る規模の海外農地が使われていると説明しています。
4.農業従事者の減少と高齢化
農業の担い手不足も深刻な課題です。
農業は、天候の影響を受けやすく、繁忙期には多くの人手を必要とします。また、農地の確保、機械の購入、栽培技術の習得、販路の開拓など、事業として始めるためのハードルも低くありません。
今後さらに農業従事者が減少すれば、国内の生産力そのものが低下する可能性があります。
5.輸入品との価格競争がある
海外では、広大な農地を利用して大規模な農業が行われています。
土地や人件費、生産規模などの違いから、国産農産物よりも輸入品の方が安く流通するケースがあります。
消費者や食品事業者が価格を重視すれば、輸入品への依存がさらに進み、国内生産を維持することが難しくなる可能性があります。
食料を輸入に頼り続けることのリスク
食料の輸入そのものが悪いわけではありません。
世界各国から食料を輸入することで、私たちは国内では生産が難しい食品や、季節外の農産物も購入できます。
しかし、依存度が高すぎると、さまざまなリスクがあります。
国際情勢による輸入停止
紛争や政治的な対立が発生すると、特定の国から食料や原料を輸入できなくなる可能性があります。
異常気象による不作
干ばつ、洪水、熱波などによって生産国の収穫量が減少すれば、輸入量の減少や価格高騰につながります。
輸送コストの上昇
原油価格の上昇や物流網の混乱によって、船舶輸送やトラック輸送のコストが上がれば、食品価格にも影響します。
為替変動による価格上昇
円安が進むと、同じ量の食料を輸入する場合でも、国内で支払う金額が増えます。
食料安全保障を考えるうえでは、輸入先を分散することに加え、国内で生産できるものを増やし、食料を生産し続けられる基盤を維持することが重要です。
水耕栽培とは?
水耕栽培とは、基本的に土を使わず、水に溶かした肥料や養分を植物の根に与えて育てる栽培方法です。
家庭用の小さな栽培キットもありますが、事業として行う場合には、栽培ラック、給排水設備、照明、空調、養液管理設備などを組み合わせて生産環境を整えます。
水、肥料、温度、湿度、光などを管理することで、植物に適した環境を人工的につくることができます。
植物工場とは?
「植物工場」と聞くと、野菜を機械で製造する工場のようなものを想像する方もいるかもしれません。
実際には、建物の中で光、温度、湿度、二酸化炭素、養液などを管理しながら、野菜や植物を計画的に栽培する施設です。
太陽光を活用するタイプもありますが、LED照明などの人工光を使用し、閉鎖された室内で栽培する方式もあります。
一般的な露地栽培とは異なり、外部の天候に左右されにくいことが大きな特徴です。
水耕栽培・植物工場が注目される理由
1.天候の影響を受けにくい
露地栽培では、台風、豪雨、猛暑、寒波、日照不足などが収穫量に大きく影響します。
植物工場では栽培環境を一定に保ちやすいため、天候不順による生産量の変動を抑えられる可能性があります。
食料を年間を通して安定供給するうえで、大きなメリットです。
2.年間を通して計画生産しやすい
自然環境では、作物ごとに適した季節があります。
一方、植物工場では温度や光を調整することで、季節にかかわらず栽培できる作物があります。
収穫時期や生産量を計画しやすくなれば、スーパー、飲食店、食品加工会社などへの安定供給にもつながります。
3.限られた面積を有効活用できる
植物工場では、栽培ラックを多段化することによって、床面積だけでなく建物の高さも生産スペースとして活用できます。
農地が限られている都市部や、土地代が高い地域でも、建物内の空間を立体的に使える点が特徴です。
4.農地以外の建物を活用できる可能性がある
水耕栽培・植物工場は、必ずしも広大な農地だけを必要とするものではありません。
施設の状態や法令、設備条件などの確認は必要ですが、次のような不動産を活用できる可能性があります。
- 空き工場
- 遊休倉庫
- 廃校
- 空き店舗
- 企業の未利用施設
- 使用されていない事業所
農業の問題と遊休不動産の問題を、同時に解決できる可能性があります。
5.作業の標準化や省力化を進めやすい
栽培環境を数値で管理することにより、経験や勘だけに頼らない生産体制を構築しやすくなります。
給水、照明、温度管理などの自動化が進めば、農業従事者の減少や人手不足への対応策にもなります。
ただし、完全に人手が不要になるわけではありません。播種、定植、収穫、洗浄、出荷、設備管理など、それぞれの工程を踏まえた事業計画が必要です。
植物工場だけで食料自給率の問題は解決できる?
植物工場は、食料自給率向上に貢献できる可能性がありますが、植物工場だけで日本の食料問題のすべてを解決できるわけではありません。
現在の植物工場では、レタスなどの葉物野菜が代表的な栽培品目です。
しかし、カロリーベースの食料自給率を大きく引き上げるためには、米、小麦、大豆、飼料作物、油糧作物などの生産も重要です。
つまり、植物工場の役割は、単純に「自給率の数字を一気に引き上げること」だけではありません。
- 国内で生産できる農産物を増やす
- 天候に左右されにくい生産拠点を確保する
- 都市部や遊休施設で新たな生産を始める
- 高品質な農産物を安定供給する
- 栽培技術を研究し、生産効率を高める
- 新しい農業の担い手を増やす
こうした取り組みを積み重ねることで、日本の食料生産基盤を強くすることに意味があります。
水耕栽培は設備を設置すれば成功するわけではない
植物工場の写真を見ると、栽培ラックやLED照明が整然と並び、比較的簡単に野菜を生産できるように見えるかもしれません。
しかし、事業として成功させるためには、設備を購入するだけでは不十分です。
事前に検討すべき内容は多岐にわたります。
- 何を栽培するのか
- どの程度の量を生産するのか
- 誰に販売するのか
- 販売価格はいくらか
- 栽培期間はどの程度か
- 電力や水道の使用量はどの程度か
- どのような設備が必要か
- 建物の広さや天井高は十分か
- 給排水や空調設備を設置できるか
- 衛生管理をどのように行うか
- 作業員を確保できるか
- 初期投資を何年で回収するのか
栽培技術だけでなく、施設設計、設備、建物、エネルギー、販売先、事業収支を一体で考えることが重要です。
水耕栽培の研究・開発・コンサルティング企業と連携しています
弊社では、水耕栽培や植物工場の研究・開発、栽培指導、コンサルティングを行う企業と連携しています。
提携先では、植物工場の設計施工や栽培指導、コンサルティングに取り組んでおり、大学との共同研究や、廃校を活用した水耕栽培・サフラン栽培などの事業にも取り組んできました。
水耕栽培事業を検討している企業に対し、単に栽培設備を販売するのではなく、栽培する作物や事業目的に合わせた研究、技術開発、施設計画、栽培指導などを含めて検討できることが強みです。
農業分野に初めて参入する企業にとって、専門家の支援を受けながら事業計画を組み立てられることは、大きな安心材料になります。
レジスタ合同会社ができること
弊社では、提携先へのご紹介に加え、水耕栽培・植物工場の立ち上げに必要となる設備や不動産についてもご相談を承ります。
水耕栽培設備・部材の納品
栽培ラック、照明器具をはじめ、植物工場で使用する設備や部材の納品に対応します。
水耕栽培設備の施工
関東圏を中心に、設備の設置や関連工事についてもご相談いただけます。
工場・倉庫などの物件探し
不動産会社として、水耕栽培や植物工場の候補となる工場、倉庫、土地などの物件探しをサポートします。
物件を探す際には、広さや賃料だけでなく、次のような条件を確認する必要があります。
- 電気容量
- 給排水設備
- 天井高
- 床荷重
- 搬入経路
- 空調設備
- 周辺環境
- 用途地域
- 建物用途や法令上の制限
栽培計画と物件条件を照らし合わせながら検討することが重要です。
水耕栽培は企業の新規事業にもなる
水耕栽培・植物工場は、農業法人だけの事業ではありません。
食品会社、飲食会社、建設会社、物流会社、不動産会社、福祉事業者、地域企業など、異業種から参入する可能性があります。
例えば、次のような目的が考えられます。
- 自社で使用する野菜の生産
- 新しい収益事業の立ち上げ
- 遊休工場や倉庫の有効活用
- 地域雇用の創出
- 障害者就労支援との連携
- 地方創生事業
- 高付加価値作物の研究・生産
- 食品の安定調達
- 環境・SDGsへの取り組み
ただし、「社会的に意義がある事業」と「採算が取れる事業」は分けて検討しなければなりません。
栽培技術、設備投資、電気代、人件費、販路などを事前に精査したうえで、小規模な実証から始める方法も考えられます。
まとめ
日本の食料自給率が低い背景には、食生活の変化、輸入飼料への依存、農地の制約、農業従事者の減少、輸入品との価格競争など、複数の要因があります。
水耕栽培や植物工場だけですべての問題を解決できるわけではありません。
それでも、天候に左右されにくい生産、遊休施設の活用、計画的な農産物供給、新規就農者や異業種参入の促進などを通じて、日本の食料生産基盤を支える一つの方法になる可能性があります。
弊社では、水耕栽培の研究・開発・栽培指導・コンサルティングを行う企業と連携し、栽培設備や照明器具などの部材納品、関東圏での設備工事、工場・倉庫・土地などの物件探しをサポートしています。
「水耕栽培を新規事業として検討したい」
「空いている工場や倉庫を活用できないか相談したい」
「植物工場に適した物件を探している」
「栽培設備や施工について相談したい」
このような段階からでも、お気軽にご相談ください。
栽培技術、設備、不動産をそれぞれ別々に考えるのではなく、事業全体を見据えた計画づくりをお手伝いいたします。
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