カテゴリー:
系統用蓄電池の完成物件を購入できる企業とは?異業種から電力インフラ投資へ参入する方法
「系統用蓄電池は電力会社やエネルギー関連企業が所有するものでは?」
「不動産会社や一般の事業会社でも購入できるの?」
「蓄電池を購入した後、自社で電力取引を行う必要があるの?」
系統用蓄電池に関心を持たれている企業様の中には、このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
系統用蓄電池は、電力系統に接続して充電・放電を行い、電力の需給調整などに活用される設備です。
再生可能エネルギーの導入拡大などを背景に、電力インフラとしての役割が注目されています。
一方、投資対象として考えた場合、必ずしも電力会社やエネルギー関連企業だけが購入者になるわけではありません。
不動産賃貸業、建設業、製造業、物流業、資産管理会社など、電力事業を本業としていない企業にとっても、検討可能な投資対象です。
特に、土地の確保や設備建設などが進んだ「完成物件」であれば、土地から自社で開発する場合とは異なる方法で参入を検討できます。
弊社レジスタでは、不動産売買仲介に加え、系統用蓄電池の土地・権利付き土地・完成物件のご紹介に取り組んでいます。
最近弊社に入ってくる高圧系統用蓄電池の完成引渡し案件では、6億円台半ばから後半の価格帯も見られます。
今回は、どのような企業が系統用蓄電池の完成物件を購入できるのか、異業種から参入する場合の方法と注意点について解説します。

1.系統用蓄電池は電力会社でなくても所有できる?
最初に結論を申し上げると、系統用蓄電池を所有する企業が、必ずしも電力会社である必要はありません。
系統用蓄電池の事業には、大きく分けて次のような役割があります。
① 土地所有者
蓄電所を設置する土地を所有、または賃貸する立場です。
② 開発事業者
土地の確保、系統接続に関する手続き、許認可、設備調達などを進める事業者です。
③ EPC事業者
蓄電所の設計・調達・建設などを担う事業者です。
④ 蓄電所の所有者・投資家
完成した蓄電所を所有し、事業収益を得る立場です。
⑤ アグリゲーター
電力市場への参加や充放電運用などを担う事業者です。
⑥ O&M事業者
蓄電所の保守・点検・監視などを担う事業者です。
このように、系統用蓄電池事業には複数の専門事業者が関わります。
そのため、蓄電所の所有者が、すべての業務を自社で行う必要はありません。
ただし、所有するだけで自動的に収益が発生するわけではありません。
市場参加に必要な手続きや契約、設備管理体制などを整える必要があります。
専門事業者と適切に連携することで、異業種の企業でも系統用蓄電池事業への参入を検討できるということです。
2.どのような企業が購入を検討できる?
では、具体的にどのような企業が完成物件の購入対象となるのでしょうか。
① 不動産賃貸業・不動産投資会社
一棟マンションや収益ビルなどを所有する企業です。
これまで賃料収入を中心に収益を得てきた企業にとって、系統用蓄電池は異なる収益構造を持つ投資対象になります。
不動産投資では、空室率、賃料水準、修繕費、将来の売却価格などを重視します。
一方、系統用蓄電池では、電力市場の収益、アグリゲーターの運用、設備の性能などが重要になります。
収益の変動要因が異なるため、投資先の分散という観点から検討することも考えられます。
ただし、分散投資になるからといって、必ずリスクが低下するわけではありません。
② 建設会社・設備工事会社
建設会社や設備工事会社は、系統用蓄電池の建設に関連する知識や取引先を持っている場合があります。
そのため、一般の投資家と比較して、設備や施工内容を理解しやすい可能性があります。
一方、建設工事に詳しいことと、電力市場の運用に詳しいことは別です。
完成物件を購入する場合でも、収益予測やアグリゲーター契約については専門的な確認が必要になります。
③ 製造業
製造業の企業が、新たな事業収益を確保する目的で検討することも考えられます。
特に、設備投資や長期的な資金計画に慣れている企業であれば、蓄電所の設備更新や減価償却などの考え方を理解しやすい場合があります。
ただし、系統用蓄電池は自社工場で使用する蓄電池とは異なり、電力系統に接続して事業を行う設備です。
自家消費用蓄電池と混同しないことが重要です。
④ 物流会社・運送会社
物流会社や運送会社にとっても、本業とは異なる収益源の確保という観点から検討対象となる可能性があります。
ただし、物流施設の敷地に蓄電池を設置する場合と、独立した系統用蓄電池の完成物件を購入する場合では、事業形態が異なります。
今回ご紹介するのは、主に独立した蓄電所を投資対象として購入するケースです。
⑤ 資産管理会社・ファミリーオフィス
資産管理会社やファミリーオフィスでは、収益不動産、有価証券、事業投資など、複数の資産への投資を検討することがあります。
系統用蓄電池は、電力市場を収益基盤とする実物資産投資として、検討対象となる可能性があります。
ただし、中古売買市場は収益不動産ほど成熟しておらず、将来の売却価格を予測することは容易ではありません。
長期的な投資期間や資金の流動性についても考慮する必要があります。
⑥ 再生可能エネルギー関連企業
太陽光発電などの再生可能エネルギー事業に取り組んでいる企業にとっては、系統用蓄電池は比較的関連性の高い分野です。
ただし、太陽光発電のFIT制度と、系統用蓄電池の市場収益は仕組みが異なります。
既存の再生可能エネルギー事業の経験が、そのまま蓄電池事業の収益予測に当てはまるわけではありません。
3.なぜ異業種の企業には完成物件が向いているのか?
系統用蓄電池事業に参入する方法には、大きく分けて次の3つがあります。
① 土地を取得して一から開発する
② 権利付き土地を購入して開発する
③ 完成物件を購入する
土地から開発する場合、系統接続に関する手続き、工事費負担金、設備調達、建設工事など、多くの工程が必要です。
権利付き土地を購入する場合でも、設備建設や各種手続きが残っていることがあります。
一方、完成物件であれば、開発事業者が一定の工程を進めています。
そのため、自社で蓄電所を開発する部門を持たない企業でも、購入を検討しやすい場合があります。
ただし、販売資料上の「完成」「完工」「連系済み」「商業運転開始済み」は、必ずしも同じ意味ではありません。
完成物件であっても、系統連系や商業運転開始前の案件があるため、引渡条件の確認が必要です。
4.完成物件を購入した後は誰が運用する?
異業種から参入する企業にとって、最も気になる部分ではないでしょうか。
「蓄電所を購入した後、自社で電力取引をしなければならないのか?」
「専門の社員を雇用する必要があるのか?」
系統用蓄電池では、アグリゲーターやO&M事業者と連携することで、運用業務を外部委託する方法があります。
アグリゲーターの役割
アグリゲーターは、電力市場への参加や充放電の運用などを担います。
例えば、
- 卸電力市場での取引
- 需給調整市場への参加
- 充放電計画の作成
- 運用実績の管理
などです。
ただし、実際に対応する業務範囲は契約によって異なります。
また、アグリゲーターの運用能力や報酬体系によって、投資家の収益が変わる可能性があります。
O&M事業者の役割
O&M事業者は、設備の保守・点検・監視などを担います。
蓄電池は長期間使用する設備であり、故障や性能低下への対応が必要です。
そのため、適切な保守管理体制を整えることが重要になります。
投資家自身がすべての業務を行う必要はありませんが、委託先の選定と契約内容の確認は欠かせません。
5.購入する企業に電力事業の許認可は必要?
系統用蓄電池の購入を検討する際、許認可についても確認が必要です。
蓄電所を所有すること自体と、電気事業法上の事業規制や電力市場への参加資格は、分けて考える必要があります。
系統用蓄電池の設備規模、事業形態、運用方法などによって、必要となる届出や登録、保安体制等が異なる場合があります。
また、電力市場への参加に必要な手続きについては、アグリゲーターとの契約形態などによって対応方法が変わります。
したがって、完成物件を購入すれば許認可や手続きが一切不要になるというわけではありません。
購入主体がどのような法的立場になるのか、誰がどの手続きを行うのかについて、事前に確認することが重要です。
6.完成物件の購入にはどの程度の資金が必要?
弊社が最近目にする高圧系統用蓄電池の完成引渡し案件では、6億円台半ばから後半の価格帯も見られます。
もちろん、設備容量、メーカー、連系条件、土地条件、補助金の有無などによって価格は異なります。
また、物件購入価格以外にも、購入諸費用、運転資金、保険料、将来の設備更新費用などを考慮する必要があります。
例えば、購入価格6億5,000万円の完成物件を検討する場合、自己資金だけで購入する方法と、金融機関から融資を受ける方法が考えられます。
ただし、系統用蓄電池への融資は、一般の不動産融資とは審査の考え方が異なります。
金融機関は、購入企業の財務内容に加え、蓄電所の事業性、アグリゲーター契約、設備仕様、収益予測などを確認します。
2026年には、系統用蓄電池事業に対する金融機関やリース会社の融資事例も公表されています。
しかし、すべての企業が同じ条件で融資を受けられるわけではありません。
購入検討の早い段階から、資金調達の可能性を確認することが重要です。
7.異業種から参入する場合、既存法人とSPCのどちらで購入する?
系統用蓄電池の完成物件を購入する場合、購入主体についても検討する必要があります。
例えば、次のような方法があります。
既存法人で購入する
現在事業を行っている法人が、そのまま蓄電所を購入する方法です。
既存法人の財務内容や信用力を活用して、金融機関へ融資相談することが考えられます。
一方、本業とは異なる事業リスクを既存法人が負担することになります。
新設法人で購入する
系統用蓄電池事業を行うために、新たな法人を設立する方法です。
事業ごとの収支を分けて管理しやすいという特徴があります。
ただし、新設法人には過去の決算実績がないため、資金調達では出資者や親会社の信用力などが重要になる場合があります。
SPCを設立する
SPC(特別目的会社)を設立し、蓄電所を保有・運営する方法です。
プロジェクトファイナンスや複数投資家による出資などで利用されることがあります。
ただし、SPCを設立すれば自動的に融資が受けられるわけではありません。
法人設立費用や維持管理費用、契約関係の整理なども必要です。
購入主体の選定にあたっては、融資、税務、会計、リスク管理などを総合的に検討することが重要です。
8.投資家が確認したい収益の仕組み
系統用蓄電池の収益には、主に次のような市場が関係します。
① 卸電力市場(JEPX)
電力価格の時間帯による差などを利用した取引です。
② 需給調整市場
電力系統の需給バランスを調整するための市場です。
③ 容量市場
将来の供給力を確保する仕組みに基づく収益です。
ただし、すべての蓄電所がこれらの市場に参加できるわけではありません。
設備要件、契約内容、制度、運用方法などによって収益構造は異なります。
また、同じ設備能力や時間帯について、複数の市場収益を重複して計上できるとは限りません。
重要なのは、どの市場から、どのような前提で収益を得る計画なのかを確認することです。
9.高利回りという理由だけで購入してはいけない
系統用蓄電池の完成物件では、高い想定利回りが提示されることがあります。
しかし、想定利回りが高いという理由だけで購入判断を行うことはおすすめできません。
例えば、年間売上が9,000万円と予測されていても、電力購入費用、アグリゲーター報酬、O&M費用、保険料などを差し引く必要があります。
さらに、金融機関から融資を受ける場合には借入返済が必要です。
また、蓄電池は使用によって劣化するため、将来の設備更新費用も考慮しなければなりません。
したがって、購入前には、
- 年間売上
- 年間運営費用
- 営業キャッシュフロー
- 借入返済額
- 設備更新費用
- 税金
- 将来の売却価格
などを確認する必要があります。
想定利回りと実際に手元へ残るキャッシュフローは異なります。
特に異業種から参入する企業では、電力市場の収益変動を理解したうえで投資判断を行うことが重要です。
10.異業種から参入する場合の5つのステップ
ここからは、完成物件の購入までの流れを整理します。
STEP1.投資目的と購入予算を決める
まずは、なぜ系統用蓄電池へ投資するのかを明確にします。
例えば、
- 新たな収益源の確保
- 投資先の分散
- エネルギー関連事業への参入
- 長期的なインフラ投資
などです。
投資目的によって、希望する収益性や投資期間、リスク許容度が変わります。
STEP2.購入主体と資金調達を検討する
既存法人で購入するのか、新設法人やSPCを利用するのかを検討します。
また、自己資金だけで購入するのか、金融機関の融資を利用するのかも重要です。
購入主体や資金調達方法によって、必要な手続きや契約条件が異なります。
STEP3.完成物件の情報を収集する
希望するエリア、購入予算、設備規模、連系時期などを整理し、条件に合う案件を探します。
完成物件の情報は、一般の不動産ポータルサイトに掲載されないケースもあります。
そのため、系統用蓄電池を取り扱う不動産会社や開発事業者とのネットワークが重要になります。
STEP4.事業性を確認する
購入候補が見つかったら、事業性を確認します。
特に、
系統連系状況
設備仕様
アグリゲーター契約
収益予測
O&M体制
保険
融資条件
将来の設備更新費用
などを確認します。
必要に応じて、電力、設備、法務、税務などの専門家と連携してDD(デューデリジェンス)を行います。
STEP5.売買契約・引渡し・運用開始
購入条件が整ったら、売買契約を締結します。
ただし、土地と設備だけでなく、系統接続に関する契約上の地位や運用契約などについても確認が必要です。
また、完成物件であっても、引渡し時点で商業運転を開始しているとは限りません。
購入後に必要な手続きや運用開始までのスケジュールを確認することが重要です。
11.完成物件を購入する際に注意したいこと
異業種からの参入では、特に次の点に注意したいところです。
① 電力市場の収益は変動する
系統用蓄電池の収益は、電力市場の価格や制度、アグリゲーターの運用などによって変化します。
過去の収益実績や将来予測が、そのまま継続するとは限りません。
② 設備には寿命がある
蓄電池は使用によって劣化します。
将来の設備更新費用や、性能保証の内容を確認する必要があります。
③ 中古売買市場は形成途上
一棟マンションや収益ビルと比較すると、系統用蓄電池の中古売買市場はまだ成熟していません。
将来の売却価格や売却先を確実に予測することは難しい状況です。
④ 購入後も事業管理が必要
アグリゲーターやO&M事業者へ業務を委託する場合でも、所有者として契約管理や収支確認などを行う必要があります。
⑤ 補助金・税制優遇は個別確認が必要
補助金が採択された案件では、財産処分制限や承継手続きなどが問題となる場合があります。
また、即時償却などの税制優遇についても、購入すれば自動的に適用されるわけではありません。
取得主体、設備、取得時期などによって適用条件が異なるため、事前確認が必要です。
12.一棟収益不動産と比較するという考え方
弊社レジスタでは、これまで一棟マンションや収益ビルなどの不動産売買仲介を行ってきました。
不動産投資では、賃料収入、空室率、修繕費、金融機関の融資、将来の売却価格などを総合的に判断します。
系統用蓄電池でも、購入価格、事業収益、運用費用、融資、設備更新費用、出口戦略などを確認する必要があります。
ただし、両者の収益構造は異なります。
不動産には、土地の資産価値や成熟した中古市場などの特徴があります。
一方、系統用蓄電池には、電力インフラとしての役割や、電力市場を通じた事業収益という特徴があります。
「一棟収益不動産か、系統用蓄電池か」ではなく、両者を比較したうえで投資判断することが重要です。
13.レジスタでは異業種からの完成物件購入相談も受け付けています
弊社レジスタでは、高圧系統用蓄電池の完成物件を購入したい企業・投資家様からのご相談を受け付けています。
電力会社やエネルギー関連企業だけでなく、不動産賃貸業、建設業、製造業、物流業、資産管理会社など、異業種からのご相談も歓迎しています。
例えば、
「本業とは別の収益源を確保したい」
「一棟収益不動産以外の投資先を検討したい」
「系統用蓄電池の完成物件を購入したい」
「金融機関の融資を利用できるか確認したい」
「購入後の運用を外部委託できるか知りたい」
「投資家のお客様へ完成物件を紹介したい」
といったご相談です。
弊社では、不動産に関する調査や売買実務を担当しながら、系統連系、設備、運用などの専門的な事項については、関係事業者と連携して対応しています。
ご希望のエリア、購入予算、投資目的、自己資金、融資利用の有無などをお知らせいただければ、条件に合う案件の有無を確認いたします。
また、完成物件を売却したい開発事業者様からの案件情報も募集しています。
土地・権利付き土地から完成物件へ、そして投資家へ。
弊社レジスタでは、不動産とエネルギーの両分野をつなぎ、系統用蓄電池の流通をサポートしてまいります。
まとめ|完成物件なら異業種からの参入も検討できる
系統用蓄電池は、電力会社やエネルギー関連企業だけが所有する設備ではありません。
不動産賃貸業、建設業、製造業、物流業、資産管理会社など、異業種の企業にとっても、新たな投資対象となる可能性があります。
特に完成物件であれば、土地から自社で開発する場合と比較して、開発段階のリスクを一定程度軽減できる可能性があります。
また、アグリゲーターやO&M事業者と連携することで、専門的な運用業務を外部委託する方法もあります。
ただし、完成物件を購入すれば誰でも簡単に高収益を得られるわけではありません。
電力市場の収益変動、設備の劣化、資金調達、運用体制、将来の売却可能性などを十分に確認する必要があります。
大切なのは、電力事業の経験があるかどうかだけではなく、事業内容とリスクを理解したうえで投資判断できるかどうかです。
弊社レジスタでは、一棟収益不動産と系統用蓄電池の両方を取り扱う立場から、企業・投資家様の新たな投資先の検討をサポートしてまいります。
高圧系統用蓄電池の完成物件をお探しの企業・投資家様は、まずはお気軽にお問い合わせください。
レジスタ合同会社
東京都中央区日本橋人形町3-3-5天翔日本橋人形町ビル206
お問い合わせはこちら
宅地建物取引業免許 東京都知事(2)第101770号
建設業許可 東京都知事許可(般-6)第150822号
【運営サイト】
コーポレートサイト
レジスタの賃貸サイト
テナントショップ人形町
外国人技能実習生賃貸ナビ
不動産売却LP
【SNS】
X(旧ツイッター)
Facebookページ
インスタグラム
