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系統用蓄電池は“太陽光FIT初期”に似ている?今注目される理由と、太陽光投資との決定的な違い

系統用蓄電池について再生可能エネルギー業界の方々とお話ししていると、ときどき耳にする言葉があります。

「今の系統用蓄電池は、太陽光FIT初期の頃に少し似ている」

というものです。

2012年に固定価格買取制度(FIT)が始まった頃、太陽光発電事業には不動産会社、建設会社、投資家、事業会社など、それまで電力事業とは直接関係のなかった企業も次々と参入しました。

実際、FITは再生可能エネルギーを一定価格・一定期間買い取ることで事業収益の予見可能性を高め、新たな再エネ市場を創出することを目的とした制度でした。

制度開始後、再生可能エネルギーの導入は急速に拡大しました。

そして現在、新たに注目されているのが、

「系統用蓄電池」

です。

弊社にも最近、

「蓄電池用地を探している」

「権利付き土地を購入したい」

「完成物件を販売したい」

「EPCとして協業したい」

といったお問い合わせが増えています。

実際に案件情報を取り扱っていると、権利付き土地が短期間で販売終了となるケースもあり、事業者の動きの速さを感じています。

では、本当に今の系統用蓄電池は「太陽光FIT初期」と同じなのでしょうか。

結論からいうと、

似ている部分はありますが、投資の仕組みは大きく異なります。

今回は高圧系統用蓄電池への投資を検討している投資家様・事業会社様に向けて、太陽光FITとの共通点と決定的な違いを整理します。

 

そもそも太陽光FITはなぜ急速に普及したのか?

FITとは「固定価格買取制度」です。

2012年7月に開始され、再生可能エネルギーで発電した電気を、国が定めた価格で一定期間、電力会社等が買い取る仕組みが整備されました。

太陽光発電事業者からすると、

「発電した電気を、いくらで、何年間売れるのか」

を事業開始時点で比較的見通しやすい制度でした。

そのため、

設備投資額

年間発電量

売電単価

年間売上

維持管理費

投資回収

という事業計画を立てやすかったのです。

FITによって事業収益の予見可能性が高まり、再生可能エネルギー市場への新規参入を促しました。

 

なぜ現在の系統用蓄電池が「FIT初期に似ている」と言われるのか?

私たちが実務の中で感じる共通点はいくつかあります。

まず、

まだ一般の投資家には十分知られていない

という点です。

現在では太陽光発電所を投資対象として見ることに、それほど違和感はないでしょう。

しかしFIT初期には、

「土地に太陽光パネルを設置して本当に投資になるのか?」

と考えた方も多かったはずです。

現在の系統用蓄電池も似ています。

「巨大な蓄電池を購入して、どうやって収益を得るの?」

という段階の投資家様がまだ多いと思います。

 

共通点① 国が普及を後押ししている

もう一つの共通点が政策です。

国は、再生可能エネルギーのさらなる導入に向けて、系統用蓄電池の普及を進めています。

第7次エネルギー基本計画では、蓄電池について、

再生可能エネルギー等で発電された電力を蓄え、需要ピーク時などに供給する調整電源として重要

と位置付けています。

また、国は2021年度から補助金による系統用蓄電池の導入支援を行っており、長期脱炭素電源オークションでも蓄電池を対象としています。

つまり、

「民間で勝手に流行している設備」ではなく、今後の電力システムに必要な設備として政策的に導入が進められている

ということです。

この「政策支援を背景として新しい市場が形成されている」という点は、FIT初期との共通点といえるでしょう。

 

共通点② 異業種からの参入が増えている

太陽光FIT初期には、電力会社だけでなく、

  • 不動産会社
  • 建設会社
  • 商社
  • 投資会社
  • 一般事業会社
  • 個人投資家

など、さまざまなプレイヤーが市場へ参入しました。

系統用蓄電池でも同様の動きが見られます。

特に現在は、

土地を探す事業者

権利付き土地を仕入れる事業者

EPCとして建設する事業者

完成物件を購入する投資家

運用するアグリゲーター

など、役割が分かれながら市場が形成されつつあります。

弊社のような不動産会社にも土地相談、権利付き土地、完成物件、協業など、さまざまなお問い合わせが入るようになっています。

これは新しい市場が形成される途中だからこそ起きている現象だと感じています。

 

共通点③ 「土地+権利」の価値が生まれている

これも不動産会社として非常に興味深いところです。

太陽光発電でも、

単なる土地

と、

FIT認定や系統接続等が進んだ発電事業用地

では価値が異なりました。

現在の系統用蓄電池でも、

単なる蓄電池候補地

系統連系等の手続きを進める

権利付き土地

EPCによる建設

完成物件

という流れが形成されています。

実際、弊社へ届く案件でも、条件の良い権利付き土地は非常に動きが速いと感じます。

EPCや開発事業者が権利付き土地を取得し、蓄電所を完成させ、その完成物件を投資家や事業会社へ売却する。

このような流通がすでに生まれています。

 

では、太陽光FITと何が決定的に違うのか?

ここからが最も重要です。

「太陽光FIT初期に似ている」

という言葉だけを聞くと、

「早く参入すれば高い固定収益を長期間得られるのでは?」

と考えてしまう可能性があります。

しかし、これは正確ではありません。

太陽光FITと系統用蓄電池では、

収益の作り方が根本的に違います。

 

最大の違い|系統用蓄電池には「固定買取価格」がない

FITでは、国が定めた価格で一定期間、再生可能エネルギーによる電力を買い取る仕組みが設けられています。

つまり事業開始時点で、

「1kWhをいくらで売れるか」

を比較的見通しやすい制度です。

一方、系統用蓄電池は違います。

代表的な収益機会として、

JEPX(日本卸電力取引所)

需給調整市場

容量市場

などがあります。

例えばJEPXを利用した取引では、

電力価格が低い時間帯に充電

価格が高い時間帯に放電

価格差から収益を得る

という方法があります。

需給調整市場では、電力系統の需給バランスを保つための調整力を提供します。

つまり、

決められた固定価格で電気を売る事業ではなく、電力市場の中で蓄電池を運用して収益を作る事業

なのです。

ここがFITとの最大の違いです。

 

「設備を持つ」だけではなく「運用する」事業

この違いは非常に大きいと思います。

太陽光FITでは、

日射がある

発電する

売電する

という比較的理解しやすい構造でした。

系統用蓄電池では、

いつ充電するか

いつ放電するか

どの市場へ参加するか

どのような価格で応札するか

など、運用戦略が収益へ影響します。

そのため重要になるのが、

アグリゲーター

です。

同じ設備を所有していても、運用方法によって収益結果が異なる可能性があります。

系統用蓄電池では、

「どの設備を買うか」と同時に「誰に運用を任せるか」

も重要な投資判断になります。

 

「想定利回り○%」をそのままFITの利回りと比較してはいけない

完成物件の販売資料では、高い想定利回りが示されている案件があります。

収益不動産と比較すると、非常に魅力的に見えることがあります。

しかし、

太陽光FITの想定利回りと同じ感覚で比較するのは危険です。

FITでは固定買取価格によって売上を予測しやすかったのに対し、系統用蓄電池は市場環境や運用によって収益が変動します。

したがって、

表面上の利回り

だけを見るのではなく、

「どの市場から収益を得るのか?」

「シミュレーションの電力価格は?」

「アグリゲーターは誰か?」

「運用報酬はいくらか?」

「収益保証なのか、単なるシミュレーションなのか?」

などを確認する必要があります。

 

補助金についてもFITとは違う

系統用蓄電池では、国による導入支援が行われています。

例えば2025年度の系統用蓄電池等の導入支援では、後年度負担を含め総額400億円が措置され、対象類型に応じて導入費用の一部を補助する制度が設けられました。

これは系統用蓄電池の普及にとって大きな後押しです。

ただし、

補助金とFITはまったく別物

です。

FITは、運転開始後の売電価格について一定期間の予見可能性を高める仕組みです。

一方、蓄電池への補助金は主として、

設備を導入するときの初期投資負担を軽減する支援

です。

したがって、

「補助金を受けたから将来の収益も保証される」

というものではありません。

完成物件を購入する場合にも、補助金採択の有無だけでなく、補助条件や財産処分、所有者変更等に関する条件を確認する必要があります。

 

系統用蓄電池が必要とされる背景はむしろこれから

ここは投資家の皆様にぜひ知っていただきたいところです。

日本では今後も再生可能エネルギーの導入拡大が進められる方針です。

第7次エネルギー基本計画では、2040年に向けても再生可能エネルギーを主力電源として最大限導入する方向性が示されています。

しかし、太陽光や風力には、

発電したい時間に自由に発電量を調整できない

という特徴があります。

晴天の昼間には大量に発電しても、夜には太陽光発電はできません。

だからこそ、

発電する設備だけを増やすのではなく、電気を貯めて時間をずらして利用する設備

が必要になります。

系統用蓄電池が注目されている根本には、この電力システムの変化があります。

 

実は太陽光の普及が蓄電池の必要性を高めている

少し皮肉にも見えますが、

太陽光発電が増えたからこそ、蓄電池の必要性が高まっている

ともいえます。

再生可能エネルギーが増えると、時間帯によって電力が余ることがあります。

その結果、発電設備が発電できる状態でも、出力を抑える「出力制御」が行われる場合があります。

系統用蓄電池は、こうした余剰電力を吸収し、別の時間帯に放電できる可能性があります。

国の系統用蓄電池導入支援も、再エネの大量導入に必要となる調整力の確保を目的としています。

つまり、

太陽光発電と系統用蓄電池は競合する設備というより、再エネをさらに活用するために組み合わせて考える設備

なのです。

 

では「今がチャンス」なのか?

これは簡単に断定できません。

系統用蓄電池市場はまだ変化の途中です。

今後、

  • 参入事業者の増加
  • 蓄電池価格の変化
  • 市場価格の変化
  • 需給調整市場の制度変更
  • アグリゲーター間の競争
  • 系統接続ルールの変化
  • 中古市場の形成

などが進む可能性があります。

国自身も、第7次エネルギー基本計画に関連する資料の中で、系統用蓄電池について、

系統接続の長期化

各電力市場における収益性評価

安全性・持続可能性

などの課題を挙げています。

つまり、

国が普及を進めている=投資すれば必ず成功する

ということではありません。

 

それでも「今、知っておく価値」がある

一方で、市場が完全に成熟してから初めて調べるのではなく、

市場形成の段階から仕組みを理解しておく

ことには意味があると思います。

太陽光FITでも、制度開始当初と市場成熟後では、

土地価格、

設備価格、

売買価格、

参入事業者、

競争環境

が大きく変化しました。

系統用蓄電池でも今後同じ変化が起きるとは限りません。

しかし現在、

土地

系統連系

権利付き土地

EPCによる建設

完成物件

投資家・事業会社による保有

という市場が形成されつつあることは、弊社も実務の中で感じています。

 

不動産投資家にこそ見ていただきたい理由

弊社は不動産会社です。

だからこそ、系統用蓄電池を、

「夢のような新しい投資商品」

としてご紹介するつもりはありません。

一棟収益不動産には、

  • 成熟した売買市場
  • 融資環境
  • 土地価値
  • 賃貸需要
  • 中古流通
  • 長期間蓄積された投資データ

があります。

系統用蓄電池には、まだそこまで成熟していない部分があります。

その代わり、

これから必要性が高まる可能性のある電力インフラへ投資する

という、不動産とは違った特徴があります。

だからこそ、

「不動産か蓄電池か」ではなく、両方を比較してほしい

と考えています。

 

6億円規模の投資先として比較してみる

最近弊社へ入ってくる高圧系統用蓄電池の完成引渡し案件では、6億円以上となる案件もあります。

6億円という金額であれば、

東京23区の一棟マンションや一棟ビルなども十分比較対象になります。

例えば、

6億円を一棟収益不動産へ投資する場合

と、

6億円を高圧系統用蓄電池へ投資する場合

では、

期待できる収益、

収益の安定性、

融資、

税制、

維持管理、

設備劣化、

土地価値、

将来の売却

などが大きく異なります。

単純に、

「どちらの利回りが高いか?」

だけで比較するものではありません。

重要なのは、

「自社の投資方針にどちらが合っているのか」

です。

 

「第二の太陽光」ではなく「次の電力インフラ」

系統用蓄電池について、

「第二の太陽光」

と表現すると分かりやすいかもしれません。

しかし私たちは、少し違うと考えています。

太陽光発電は、

電気をつくる設備

です。

系統用蓄電池は、

電気を貯め、必要な時間へ移動させ、電力系統の需給調整にも活用する設備

です。

収益構造も役割も異なります。

したがって、

「太陽光FITの再来だから買う」

のではなく、

「再生可能エネルギーが増えるこれからの電力システムに、蓄電池がどのような役割を担うのか」

を理解して投資判断することが重要です。

 

高圧系統用蓄電池の完成物件をお探しの投資家様へ

弊社では現在、

高圧系統用蓄電池の完成引渡し物件

について、投資家様・事業会社様へのご紹介を行っています。

「系統用蓄電池には興味があるが、土地探しから開発するのは難しい」

「権利付き土地ではなく、完成した設備を購入したい」

「収益不動産と比較してみたい」

「まず実際の販売資料を見てみたい」

という段階でも結構です。

完成物件であっても、

価格

想定利回り

補助金

系統連系

蓄電池・PCS

EPC

アグリゲーター

保証

土地

将来の出口

など、確認すべき項目は数多くあります。

弊社では、単に想定利回りだけをご案内するのではなく、案件ごとの条件を確認しながらご紹介していきたいと考えています。

 

まとめ|FIT初期に似ている。しかし、FITではない

現在の系統用蓄電池市場には、太陽光FIT初期を思わせる部分があります。

政策による導入支援。

異業種からの参入。

土地・権利案件への需要。

新しい投資家の参加。

そして市場が形成されていくスピード感。

一方、決定的に違うのが、

収益の仕組みです。

FITのように一定価格で一定期間買い取ってもらう事業ではなく、

電力市場の中で蓄電池を運用しながら収益を生み出す事業

です。

だからこそ、

「太陽光FITの頃に似ているから投資する」のではなく、「似ている今だからこそ、違いを理解して検討を始める」

ことが重要ではないでしょうか。

高圧系統用蓄電池が10年後、20年後にどのような投資市場になっているのか。

これはまだ誰にも断定できません。

だからこそ次回は、

「高圧系統用蓄電池は10年後・20年後も投資対象になる?今、完成物件を購入する意味と出口戦略」

というテーマで、さらに長期的な視点から考えてみたいと思います。

高圧系統用蓄電池の完成引渡し物件をお探しの投資家様・事業会社様、また投資家のお客様をお持ちの仲介会社様からのご相談も受け付けています。

まずは情報収集からでも、お気軽にお問い合わせください。

※本記事は2026年9月時点の制度・市場環境を踏まえた一般的な情報です。特定案件への投資を推奨するものではなく、想定利回り・補助金・市場収益等を保証するものではありません。実際の投資判断では、各案件の系統関連資料、設備仕様、契約、収益シミュレーション等をご確認ください。

 

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