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5億円を投資するならどちら?系統用蓄電池と東京23区一棟マンションを比較|利回り・融資・将来性を検証
5億円、6億円、7億円、8億円。
この規模の資金で投資先を探す場合、不動産投資では東京23区の一棟マンションが選択肢に入ってきます。
一方、最近新しい投資対象として注目されているのが、高圧の系統用蓄電池(蓄電所)です。
弊社でも系統用蓄電池について土地、系統連系、権利付き土地、完成済み蓄電所などの情報収集を進めていますが、投資案件を見ていて興味深いことがあります。
それが、
高圧系統用蓄電池と東京23区の中小規模一棟マンションは、投資価格帯がかなり近い
ということです。
例えば、2026年7月に公表された2MW/8MWh級の高圧系統用蓄電池では、土地・設備・工事・系統権利等を含めて税別約6.5~8億円という参考価格が示されています。
一方、東京23区の一棟マンションを見ると、2026年築のRCマンションで、
板橋区:約5億3,300万円・想定利回り4.2%
練馬区:約6億700万円・想定利回り4.3%
品川区:約7億400万円・想定利回り4.0%
といった売出事例があります。
つまり、
「5~8億円を投資するなら、一棟マンションを買うのか、それとも系統用蓄電池を買うのか」
という比較ができるわけです。
もちろん、両者は全く異なる投資商品です。
今回は不動産会社の視点から、価格、利回り、収益構造、融資、リスク、資産価値、将来性、出口戦略などを比較してみたいと思います。

まず結論|同じ5~8億円でも「投資の性格」が全く違う
最初に大まかな違いを整理してみましょう。
| 比較項目 | 高圧系統用蓄電池 | 東京23区一棟マンション |
| 投資価格 | 5~8億円程度の案件も | 5~8億円程度も多数 |
| 収益源 | 電力市場等 | 入居者の賃料 |
| 利回り | 高い収益性を想定する案件もある | 4%前後の売出例あり |
| 収益安定性 | 市場価格・運用に左右される | 比較的安定 |
| 融資 | 発展途上 | 金融市場が成熟 |
| 土地 | 郊外でも成立可能 | 立地価値が非常に重要 |
| 建物・設備 | 蓄電池は劣化する | 建物も経年劣化する |
| 運営 | アグリゲーター等が重要 | 管理会社が重要 |
| 出口市場 | これから形成 | 非常に成熟 |
| 将来性 | 成長市場 | 成熟市場 |
| リスク | 高め | 比較的読みやすい |
大きく言えば、
系統用蓄電池=高収益を狙える可能性がある成長市場
東京23区一棟マンション=収益性は低めでも、融資・資産価値・出口の予測がしやすい成熟市場
という違いがあります。
比較① 投資価格|実はかなり近い
まず価格です。
系統用蓄電池については、設備容量や土地、系統条件、工事内容によって大きく異なりますが、現在流通している高圧案件では5~8億円程度の投資規模が一つのゾーンになっています。
実際、2026年7月に販売開始が公表された2MW/8MWh級では、参考価格約6.5~8億円とされています。
一方、東京23区のRC一棟マンションでも5~8億円は珍しくありません。
現在の売出事例でも、
板橋区・新築RC:約5.33億円
練馬区・新築RC:約6.07億円
品川区・新築RC:約7.04億円
という物件があります。
つまり6億円前後の投資資金を持つ投資家であれば、
新築RC一棟マンション
と
2MW/8MWhクラスの高圧系統用蓄電池
が同じ投資候補に入る可能性があります。
比較② 利回り|系統用蓄電池の方が高い?
最も大きな違いが期待収益です。
東京23区の一棟マンションは、現在かなり利回りが低下しています。
日本不動産研究所の2026年4月調査では、東京・城南地区の賃貸住宅一棟の期待利回りは、
ワンルームタイプ3.6%
ファミリータイプ3.7%
となっています。
もちろんこれは投資家調査による期待利回りであり、すべての23区物件が3%台という意味ではありません。
実際の売出物件では4%前後も多く、先ほどの事例では4.0~4.3%です。
一方、系統用蓄電池では、より高い想定利回りを掲げる事業モデルがあります。
例えば船井総合研究所は、2MW/8MWh、投資額5~7億円程度を前提としたモデルで、実質利回り16.3%を見込むケースを紹介しています。
数字だけを見ると、
一棟マンション:約4%
系統用蓄電池:10%を超える想定モデルも
となり、大きな差があります。
しかし、ここで単純に、
「蓄電池の方が利回りが高いから有利」
とは判断できません。
なぜ系統用蓄電池の利回りは高いのか?
投資の世界では基本的に、
高いリターンには、それに対応するリスクがあります。
一棟マンションの場合、収益源は入居者からの賃料です。
例えば20戸のマンションなら、1室退去しても残り19室から賃料が入ります。
しかも東京23区の住宅需要は厚く、東京都区部の人口は2026年6月時点でも約999万人です。東京都全体では前年同月比約6.8万人増となっています。
一方、系統用蓄電池は、
卸電力市場
需給調整市場
容量市場
などを活用して収益を得ます。
その収益は市場価格や制度、アグリゲーターの運用能力などによって変動します。
経済産業省も2026年の資料で、現在の系統用蓄電池の収益は需給調整市場が多くを占めており、アービトラージ収益は限定的と整理しています。
つまり、高い想定利回りには、将来の市場価格が変わるリスクも含まれているのです。
※系統用蓄電池の20%を超える高利回り商品の広告をよく目にしますが、表面利回りで記載されていることがほとんどですので費用を見据えた投資判断が重要になります。
比較③ 収益構造|家賃か、電力市場か
両者の最大の違いです。
一棟マンションでは、
入居者
↓
家賃
↓
管理費・修繕費・固定資産税等
↓
NOI
という比較的分かりやすい構造です。
過去の入居率やレントロール、周辺賃料を確認すれば、ある程度将来収益を予測できます。
一方、系統用蓄電池は、
電力市場
↓
アグリゲーターによる運用
↓
市場収益
↓
運用費・O&M等
↓
投資家のキャッシュフロー
という構造になります。
東京ガスも2MW/8MWh×5か所の高圧系統用蓄電池について、需給調整市場や容量市場などを対象に運用するサービスを開始しています。
つまり、
マンションは「人に部屋を貸す事業」
蓄電池は「電力市場で設備を運用する事業」
です。
同じ収益資産でも、収益源は全く違います。
比較④ 融資|現時点では一棟マンションに大きな優位性
ここは投資家にとって非常に重要です。
東京23区のRC一棟マンションは、金融機関にとって長年融資してきたアセットです。
土地・建物という担保があります。
賃料収入の評価方法があります。
積算価格や収益還元価格の考え方があります。
過去の取引事例も豊富です。
したがって、
融資期間、LTV、金利、担保評価などについて金融機関側にノウハウが蓄積されています。
一方、系統用蓄電池はまだ新しい投資分野です。
そのため、個人投資家や一般事業法人が、
「6億円の蓄電所を買うので通常の不動産融資と同じように7~8割融資してください」
と金融機関へ持ち込んでも、同じ評価になるとは限りません。
ただし、ここは急速に変化しています。
2026年3月にはSBI新生銀行が電力市場販売型系統用蓄電池事業へのプロジェクトファイナンスを組成しています。さらに同年4月には、全国14件の高圧系統用蓄電施設を対象として、リコーリースによる貸付限度額49億円のプロジェクトファイナンスも実行されています。
つまり、
蓄電池には融資が付かない
という段階ではありません。
ただし現状では、
一棟マンション=物件・借主の信用力を中心とした一般的な不動産融資
に対して、
系統用蓄電池=スポンサー、事業収支、設備、運用契約などを含めた事業ファイナンス
という色合いが強いと考えた方がよいでしょう。
比較⑤ 自己資金|融資条件によって投資効率が逆転することも
ここが利回りだけでは分からない部分です。
例えば6億円の一棟マンションを購入するとします。
仮に金融機関から大部分を借りられれば、投資家が実際に投入する自己資金は6億円より大幅に少なくなります。
一方、6億円の系統用蓄電池が15%の収益性を持っていたとしても、融資が限定的で自己資金を多く投入する必要があれば、資金効率の見え方は変わります。
したがって投資家が比較すべきなのは、
物件価格に対する表面利回りだけではありません。
重要なのは、
自己資金をいくら投入し、その自己資金から最終的に何%のリターンを得られるのか
です。
ここではIRRや自己資金利回りが重要になります。
比較⑥ 資産価値|マンションには「東京の土地」が残る
一棟マンションの大きな強みです。
仮に建物が築30年、40年と古くなっても、東京23区の土地は残ります。
建物を解体して、
マンションを建て替える。
オフィスにする。
ホテルにする。
土地として売却する。
など、別の利用方法も考えられます。
つまり一棟マンションには、
収益価値+土地そのものの資産価値
があります。
一方、系統用蓄電池では郊外の土地を利用するケースも多く、土地価格そのものは投資額全体に占める割合が小さい場合があります。
投資額の大部分を占めるのは蓄電池やPCS、電気設備などです。
そして設備は使用とともに劣化します。
ここは一棟マンションとの大きな違いです。
ただし蓄電池には「系統連系」という別の資産価値がある
一方、系統用蓄電池には不動産にはない価値があります。
それが、
系統へ接続していること
です。
新しく系統用蓄電池を開発する場合、
土地を探す。
系統を調査する。
接続検討を行う。
工事負担金を負担する。
工事を行う。
連系を待つ。
というプロセスがあります。
経済産業省の資料でも、全国で系統用蓄電池の接続検討量が急増している一方、接続検討のすべてが接続契約に至るわけではないと明記されています。
したがって将来、新規連系が難しいエリアでは、
「すでに系統連系して稼働している蓄電所」
そのものに希少価値が生まれる可能性があります。
マンションにとっての「東京23区の土地」に対して、
蓄電所では「系統連系済みという権利・事業基盤」が重要な価値になる可能性があります。
比較⑦ 管理|管理会社かアグリゲーターか
一棟マンションを購入すると、通常は管理会社へ、
入居者募集、家賃管理、クレーム対応、建物管理などを委託します。
したがって管理会社の能力は収益に影響します。
系統用蓄電池でも似た存在があります。
それがアグリゲーターです。
蓄電池をどの市場で、いつ充電し、いつ放電し、どのように運用するかによって収益が変わります。
つまり、
一棟マンション:管理会社選び
系統用蓄電池:アグリゲーター選び
が重要になります。
ただし蓄電池では市場取引そのものが収益に直結するため、運用会社の能力への依存度はより高いと考えた方がよいでしょう。
比較⑧ 修繕と設備劣化
一棟マンションには、
外壁、防水、給排水、エレベーター、空調などの修繕費が発生します。
しかし適切に修繕しながら50年、60年と使用されるRC建物もあります。
系統用蓄電池では、蓄電池そのものの劣化を考える必要があります。
充放電を繰り返すことで容量・性能が変化するため、
SOH(State of Health)
充放電サイクル
メーカー保証
容量保証
将来の設備更新費
などを確認する必要があります。
したがって蓄電池の15%とマンションの4%を単純比較するのではなく、
設備更新まで含めた長期キャッシュフロー
を見る必要があります。
比較⑨ 将来性|どちらにも強みがある
では将来性はどうでしょうか。
東京23区一棟マンション
東京の住宅投資市場はすでに成熟しています。
一方で東京都の人口は2026年6月時点で前年同月比増加しており、東京への人口・経済活動の集中は依然として住宅需要を支える材料です。
また、2026年第1四半期の国内不動産投資額は第1四半期として過去最大となり、住宅への投資額も前年同期比2桁増でした。
大幅な市場拡大というより、
成熟しているからこその安定性
が魅力です。
系統用蓄電池
こちらは反対に成長市場です。
第7次エネルギー基本計画でも、系統用を含む蓄電池は、再生可能エネルギーの電力を蓄えて需要ピーク時に供給し、迅速に応答できる調整力として重要と位置付けられています。
また政府は2026年の蓄電池・電源産業戦略でも、2035年に日本企業のグローバルな蓄電池関連売上高を2025年比3倍とする方向を掲げています。
したがって、
マンション=すでに大きな市場
蓄電池=これから拡大する可能性のある市場
という違いがあります。
比較⑩ 将来の売却|現時点ではマンションが圧倒的に有利
5~10年後に売却すると考えると、現時点では一棟マンションに大きな優位性があります。
東京23区の一棟マンションには、
個人富裕層、資産管理法人、不動産会社、ファンド、事業法人、海外投資家など、幅広い買い手が存在します。
金融機関も融資できます。
査定方法も確立されています。
つまり出口市場がすでに完成しています。
一方、系統用蓄電池の中古市場・二次流通市場はこれからです。
ただし今後蓄電所が大量に建設されれば、
完成蓄電所 → 数年間運用 → 別の投資家へ売却
という市場が形成される可能性があります。
その場合には、
稼働実績、収益実績、SOH、設備保証、土地、系統連系、アグリゲーター契約などから価格を評価する市場になっていくでしょう。
5億円投資するならどちらが向いている?
ここまで比較すると、どちらが優れているというより、投資家が何を求めるかによって答えが変わることが分かります。
東京23区一棟マンションが向いている投資家
安定した賃料収入を重視する。
金融機関の融資を積極的に利用したい。
土地という資産を保有したい。
将来の売却のしやすさを重視する。
すでに確立された投資市場を好む。
このような方には一棟マンションが合いやすいでしょう。
系統用蓄電池が向いている投資家
高い投資収益を狙いたい。
電力・再生可能エネルギー市場の成長性に投資したい。
ある程度の市場変動リスクを許容できる。
不動産以外の収益資産へ分散したい。
新しい投資市場へ早期に参入したい。
このような投資家にとって、系統用蓄電池は興味深い選択肢になります。
実は「どちらか一方」ではなく分散投資という考え方も
富裕層や事業法人であれば、
一棟マンションか蓄電池か
という二者択一にする必要もありません。
例えば投資資産として、
東京23区一棟マンション=安定収益・不動産資産
系統用蓄電池=成長性・高収益を狙うインフラ資産
として組み合わせる考え方もできます。
両者は収益源が異なります。
マンションは人から家賃を受け取ります。
蓄電池は電力市場から収益を得ます。
したがって、同じ「収益資産」でも異なる市場へ分散できます。
この点は系統用蓄電池を投資商品として考えるうえで、非常に面白いところだと思います。
5~8億円の高圧蓄電池は「収益不動産の代替商品」になるのか?
弊社として今後特に注目しているのがここです。
これまで5~8億円程度の投資先を探す投資家であれば、
一棟マンション、一棟ビル、店舗、物流施設などが主な選択肢でした。
そこへ、
「完成済み高圧系統用蓄電所」
という新しい収益資産が加わろうとしています。
利回りだけを比較すれば、系統用蓄電池は非常に魅力的に見える案件があります。
しかし、
融資・市場収益の変動・設備劣化・アグリゲーター・出口市場
まで考えれば、現時点で東京23区の一棟マンションと同じ感覚で購入できる商品ではありません。
だからこそ、
高利回りだから蓄電池
でも、
不動産だから安心
でもなく、それぞれのリスクに対して得られるリターンが適正なのかを判断することが重要です。
投資判断では「表面利回り」よりIRRを比較したい
例えば、
一棟マンション6億円・表面利回り4.2%
と、
系統用蓄電池6億円・想定利回り15%
だけを並べれば、蓄電池が圧倒的に有利に見えます。
しかし実際には、
一棟マンション
購入価格
借入条件
賃料収入
空室率
管理費
修繕費
固定資産税
金利
将来売却価格
系統用蓄電池
購入価格
借入条件
市場収益
アグリゲーター報酬
O&M
蓄電池劣化
設備更新
補助金
税制
将来売却価格
まで入れて比較する必要があります。
そこで有効なのがIRR(内部収益率)です。
5年、10年、15年といった保有期間全体で、
「最初にいくら投資し、毎年いくら受け取り、最後にいくらで売却できるのか」
を比較する。
ここまで行って初めて、同じ5~8億円を投資する資産として公平な比較に近づきます。
まとめ|「安定の一棟マンション」と「成長性の系統用蓄電池」
5~8億円という同じ投資価格帯でも、東京23区の一棟マンションと高圧系統用蓄電池では投資の性格が大きく異なります。
東京23区一棟マンションの強みは、
安定した賃貸需要、融資市場、土地価値、成熟した売買市場
です。
一方、系統用蓄電池の魅力は、
高い収益性を狙える可能性と、再生可能エネルギー拡大に伴う市場成長性
です。
しかし、その代わりに電力市場の変動、設備劣化、運用会社、融資、将来の二次流通など、まだ成熟していない市場特有のリスクがあります。
そのため、
「利回り4%と15%なら15%を選ぶ」
という単純な比較ではありません。
投資家が見るべきなのは、
リスクに対してどの程度のリターンが得られるのか
そして、
自己資金を投入した結果、保有期間全体でどの程度のIRRを得られるのか
という点です。
系統用蓄電池は、収益不動産に代わるものというより、これまで不動産を中心に資産形成してきた投資家にとって、新しい収益資産の選択肢が一つ増えたと考える方が適切かもしれません。
レジスタ合同会社では、これまで一棟マンションや一棟ビルなどの収益不動産を取り扱ってきました。
現在はその経験を活かしながら、系統用蓄電池についても、用地、系統連系、権利付き土地、EPC・造成・電気設備工事会社との連携、完成済み蓄電所の売買までを見据えた取り組みを進めています。
今後も、
「5億円を不動産へ投資するのか、エネルギーインフラへ投資するのか」
という投資家目線から、両者を比較できる情報を発信していきたいと思います。
※本記事は2026年8月時点の公開情報をもとにした一般的な比較です。系統用蓄電池の収益性は設備仕様、市場価格、運用方法、アグリゲーター、補助制度等によって大きく変動します。また、不動産の価格・利回り・融資条件も物件や投資家によって異なります。特定の投資商品の収益を保証するものではありません。
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