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高圧系統用蓄電池は10年後・20年後も投資対象になる?今、完成物件を購入する意味と出口戦略

高圧系統用蓄電池の完成物件についてご紹介すると、投資家の皆様から当然出てくる疑問があります。

「今は利回りが高くても、10年後はどうなるの?」

「蓄電池は劣化するのでは?」

「20年後にも系統用蓄電池は必要なの?」

「途中で売却したくなったら買主はいるの?」

数億円規模の投資ですから、当然の疑問です。

最近弊社へ入ってくる高圧系統用蓄電池の完成引渡し案件では、6億円台以上となる案件もあります。

これだけの金額を投資するのであれば、

「現在の想定利回りが高い」

という理由だけで判断するべきではありません。

10年後、20年後にこの設備がどうなっているのか。

電力市場はどう変わっているのか。

蓄電池はどの程度劣化しているのか。

そして、

「将来、この蓄電所を誰かに売却できるのか?」

まで考えて初めて、本当の意味での投資判断になると思います。

3部作の最終回となる今回は、高圧系統用蓄電池を長期保有するという視点から、

「今、完成物件を購入する意味」と「将来の出口戦略」

について考えてみます。

 

まず「20年後も蓄電池は必要なのか?」

最初に考えたいのがここです。

系統用蓄電池への投資を検討するのであれば、

「そもそも10年後・20年後にも社会から必要とされる設備なのか?」

を考える必要があります。

2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画では、蓄電池について、再生可能エネルギー等で発電された電力を蓄え、夕方の需要ピークなどに供給する「調整電源」として重要であることが明記されています。

また、国は2021年度から系統用蓄電池の導入支援を行い、長期脱炭素電源オークションでも蓄電池を対象としています。

2026年度予算でも、経済産業省は「再生可能エネルギー導入拡大に向けた系統用蓄電池等の電力貯蔵システム導入支援事業」を継続しています。

つまり、少なくとも現在の国のエネルギー政策を見る限り、

蓄電池は一時的なブームとしてではなく、再生可能エネルギー拡大を支える電力インフラの一つとして位置付けられている

と見ることができます。

 

再生可能エネルギーが増えるほど「貯める」機能が重要になる

なぜ蓄電池が必要なのでしょうか。

太陽光発電を例にすると分かりやすいと思います。

太陽光は昼間に発電します。

しかし、

発電量が多い時間=電力需要が最も多い時間

とは限りません。

晴れた昼間に大量の電気が余っても、その電気を夜までそのまま残しておくことはできません。

そこで、

余った時間に充電する

↓

必要な時間に放電する

という役割を担うのが蓄電池です。

再生可能エネルギーが増えれば増えるほど、

「発電設備を増やす」だけではなく、「いつ使うかを調整する設備」

も重要になります。

前回の記事では、

「系統用蓄電池は第二の太陽光ではなく、次の電力インフラ」

とお伝えしました。

長期投資を考えるうえでも、この視点は非常に重要だと思います。

 

ただし「必要性が高まる=高収益が20年間続く」ではない

ここは明確に分けて考える必要があります。

系統用蓄電池が電力システムに必要だからといって、

現在提示されている高い想定利回りが10年・20年続くことを意味するわけではありません。

系統用蓄電池の収益には、

  • JEPX
  • 需給調整市場
  • 容量市場

など複数の市場・制度が関係します。

今後、蓄電池が大量に導入されれば競争環境も変化する可能性があります。

アグリゲーターも増えるでしょう。

市場制度そのものが変更される可能性もあります。

したがって、

「現在の収益シミュレーション×20年」

で単純に投資価値を判断するのは危険です。

むしろ投資家として確認したいのは、

収益環境が変わっても事業を継続できる設備なのか

という点ではないでしょうか。

 

国の収益性評価も「20年間」を想定している

長期投資を考えるうえで興味深い資料があります。

経済産業省の系統用・再エネ併設蓄電システムの収益性評価では、系統用蓄電池について、

稼働年数20年

を前提としたモデルが示されています。

そこでは建設費だけでなく、

運転維持費

充電費

廃止措置費

蓄電池の容量劣化

なども考慮されています。

つまり、

20年間ずっと新品と同じ設備性能で動く

という前提ではありません。

長期保有するのであれば、

設備が劣化することを前提として事業計画を見る

必要があります。

 

蓄電池は10年後・20年後にどうなる?

蓄電池は設備です。

不動産の土地のように、物理的に同じ状態で残り続ける資産ではありません。

充放電を繰り返すことで性能は徐々に変化します。

経済産業省の収益性評価の一例では、

20年間で容量が80%まで低下する

という想定を置いています。

もちろん、実際の劣化速度はメーカー、電池種類、温度管理、充放電方法、サイクル数などによって異なります。

だからこそ完成物件を購入するときには、

「何年間使えるのか?」

だけではなく、

「どのように劣化していく想定なのか?」

を見る必要があります。

例えば、

  • メーカー保証
  • 容量保証
  • SOH
  • サイクル保証
  • 温度管理
  • O&M体制
  • PCSの寿命
  • 部品交換
  • 将来の蓄電池交換費用

などです。

 

ここは収益不動産と大きく違う

6億円の一棟マンションと6億円の系統用蓄電池を比較すると、この違いは非常に分かりやすいと思います。

マンションの場合、

建物は劣化しても土地は残ります。

築30年、40年になったとしても、東京23区などで土地そのものに需要があれば、不動産としての価値が残る可能性があります。

一方、系統用蓄電池は設備の割合が非常に大きな投資です。

そのため、

設備の残存性能

が資産価値に大きく影響します。

ここだけを見ると、不動産の方が安心だと感じる方もいるでしょう。

それは当然だと思います。

しかし、系統用蓄電池には不動産とは違う価値があります。

 

「系統につながっている」という価値

系統用蓄電池を新しくつくろうと思っても、

土地を買えばすぐに建設できるわけではありません。

系統接続の検討・申込みを進め、工事負担金や連系時期などを確認する必要があります。

実際、第7次エネルギー基本計画に関連する国の資料でも、系統用蓄電池の接続検討受付件数が増加する一方、

系統接続の長期化

が課題として挙げられています。

ここで中古市場を考えてみます。

10年後、

すでに系統連系して稼働している蓄電所

と、

これから土地を探して系統接続を申し込む案件

は、本当に同じ価値でしょうか。

設備は古くなっていても、

「すでにその場所で蓄電所事業が稼働している」

こと自体が評価される可能性があります。

もちろん、契約上の地位や接続条件が売買後もそのまま承継できるとは限りません。

実際の売却時には一般送配電事業者や関係機関への確認が必要です。

しかし中古系統用蓄電池を考えるうえで、

設備だけではなく「系統接続を含めた事業基盤」を見る

という考え方は重要になると思います。

 

長期脱炭素電源オークションでも蓄電池の導入が進む

長期的な市場形成を見るうえで、長期脱炭素電源オークションも参考になります。

応札年度2024年度の結果では、蓄電池・揚水について、

運転継続時間3時間以上6時間未満で96.1万kW

6時間以上で76.9万kW

が約定しました。

個別の落札電源一覧にも複数の系統用蓄電池プロジェクトが掲載されています。

これは、

長期間の投資回収を必要とする蓄電池への投資を制度面から支える仕組みが実際に動いている

ことを示しています。

ただし、オークションに落札している案件と、一般的な完成引渡し物件は同じ条件ではありません。

対象案件がどの制度・市場に参加しているのかは個別に確認する必要があります。

 

では「今、完成物件を買う」意味はどこにある?

ここが今回の記事の中心です。

完成物件を購入する最大の特徴は、

開発リスクの多くをすでに通過した状態から投資できる

ことです。

系統用蓄電池を土地から開発する場合、

土地取得
↓
系統接続検討
↓
各種申請
↓
工事負担金
↓
EPC選定
↓
蓄電池・PCS調達
↓
造成
↓
建設
↓
連系
↓
試運転
↓
商業運転

という長い工程があります。

完成引渡し物件では、この多くを売主・開発事業者側が進めています。

そのため、

「系統用蓄電池には投資したいが、自社で開発事業までは行いたくない」

という投資家・事業会社にとっては、完成物件から参入する方法があります。

 

ただし「完成=リスクゼロ」ではない

ここは何度でもお伝えしたいところです。

完成しているからといって、

安全な投資が保証されるわけではありません。

確認したい項目は多数あります。

例えば、

  • 系統連系状況
  • 商業運転開始日
  • 蓄電池メーカー
  • PCSメーカー
  • EPC
  • メーカー保証
  • 容量保証
  • O&M
  • アグリゲーター
  • 土地所有権・借地権
  • 補助金
  • 市場参加状況
  • 想定収益の根拠
  • 保険
  • サイバーセキュリティ対策

などです。

2025年度の国の検討会でも、系統用蓄電池事業を取り巻くサイバーセキュリティリスクが個別の検討テーマとして扱われています。

今後、投資家によるDDではこうした設備・運用面の確認もより重要になるでしょう。

 

出口① 長期保有して収益を得る

系統用蓄電池の出口は、

「売却すること」だけではありません。

一つ目は、そのまま長期保有する方法です。

運転を続け、

事業収益を積み上げながら投資資金を回収する

という考え方です。

この場合に重要なのは、

設備更新を含めた長期CAPEX

です。

例えば10年後、15年後に、

蓄電池交換、

PCS交換、

空調設備更新、

制御システム更新

などが必要になれば、その費用を事前に想定しておかなければなりません。

「購入価格」だけでなく、

20年間の総事業費

を見ることが重要です。

 

出口② 稼働中の蓄電所として売却する

二つ目が、

中古の系統用蓄電池として第三者へ売却する

方法です。

現在はまだ、収益不動産ほど成熟した中古市場が形成されているとはいえません。

しかし今後、現在建設されている蓄電所が稼働を始めれば、

稼働3年

稼働5年

稼働10年

といった物件が出てきます。

その中には、事業会社の資産入れ替え、ファンドの運用期間終了、投資家の利益確定などによって売却される案件も出てくる可能性があります。

そのとき、

「中古系統用蓄電池」という新しい売買市場

が形成される可能性があります。

 

中古市場では何が評価される?

将来の中古市場で評価される要素を考えてみましょう。

単純な、

「新品価格-経過年数」

ではないと思います。

例えば、

設備

蓄電池のSOH、残存容量、PCS、故障履歴、メンテナンス履歴。

収益

年間売上、市場別収益、アグリゲーター費用、O&M費、実際のキャッシュフロー。

契約

アグリゲーター契約、メーカー保証、O&M契約、保険など。

土地

所有権か借地か。借地なら残存期間は何年か。

系統

接続条件や契約関係、売却時の承継手続き。

将来性

設備更新によってさらに事業を継続できるのか。

こうした情報を総合して、

「この蓄電所は今後どの程度キャッシュフローを生み出せるのか?」

が評価される市場になる可能性があります。

 

不動産でいう「レントロール」が蓄電池にも必要になる?

収益不動産を売却するときには、

レントロール

が非常に重要です。

どの部屋からいくら賃料が入り、空室はいくつあり、年間収入はいくらなのか。

買主は過去と現在の収益を確認します。

将来、稼働中の系統用蓄電池を売却する場合にも、似た考え方が必要になるかもしれません。

例えば、

月別売上

市場別収益

充放電実績

稼働率

アグリゲーター費用

O&M費

故障履歴

SOH

などです。

つまり、

運転開始後のデータそのものが、将来の売却資料になる

ということです。

 

「売れる蓄電所」にするために購入時から資料を残す

これは不動産会社として特にお伝えしたいところです。

不動産でも、売却時に資料が不足している物件は買主のDDに時間がかかります。

系統用蓄電池でも同じことが起きる可能性があります。

購入時から、

  • 土地関係資料
  • 系統連系関係資料
  • EPC契約
  • 完成図書
  • 蓄電池仕様書
  • PCS仕様書
  • 保証書
  • 試験結果
  • 補助金関係資料
  • アグリゲーター契約
  • O&M契約
  • 保険
  • 月次収益
  • 運転データ
  • メンテナンス履歴
  • 修理履歴

などを整理して保存しておく。

これが10年後の売却価格に影響する可能性があります。

つまり、

出口戦略は売却するときに考えるのではなく、購入するときから始まっている

のです。

 

出口③ 設備を更新して事業を続ける

もう一つ考えられるのが、

設備更新

です。

20年経過したからといって、

土地も系統接続もすべて捨てて事業終了

になるとは限りません。

将来的に、

蓄電池交換、

PCS交換、

より高性能な設備への更新

などによって、同じ場所で事業を継続できる可能性があります。

むしろ蓄電池技術が進歩すれば、

同じ土地で、より高性能な設備へ更新する

という考え方も出てくるでしょう。

ただし、設備変更によって既存の接続条件や契約をそのまま利用できるとは限りません。

将来の制度・技術基準・一般送配電事業者との協議などが必要になります。

したがって現時点で、

「20年後も必ず設備交換して継続できます」

とは言えません。

それでも、出口戦略の一つとして検討しておく価値はあると思います。

 

10年後・20年後の価格は誰にも分からない

ここまで読んで、

「では6億円で買った蓄電所はいくらで売れるの?」

と思われるかもしれません。

残念ながら、現時点で正確に答えることはできません。

中古市場が十分に形成されていないからです。

さらに、

電力市場、

蓄電池価格、

技術革新、

制度、

金利、

エネルギー政策

などによって価格は変わります。

これは非常に重要なリスクです。

したがって、

「将来○億円で売れる前提」

で投資判断をするのではなく、

まずは運転収益による投資回収を検討し、そのうえで将来売却できる可能性を考える方が慎重でしょう。

 

今の高利回りを20年間固定して考えない

系統用蓄電池投資で特に注意したいポイントです。

例えば現在、

想定利回り10%

という案件があったとしても、

10%×20年間

で単純計算するべきではありません。

市場競争が進めば収益環境は変化するかもしれません。

一方で、新しい市場やサービスが生まれる可能性もあります。

つまり、

上振れも下振れもあり得る

ということです。

だからこそ、

複数のシナリオ

で投資判断することが重要です。

例えば、

強気ケース

標準ケース

慎重ケース

と収益条件を変えて、

10年、15年、20年のキャッシュフローを見る。

これは今後、系統用蓄電池投資のDDで非常に重要になってくると思います。

 

では「今買う意味」は何なのか?

ここまでリスクについてかなり書きました。

それでも、

なぜ今、完成物件を検討するのか。

一つの考え方として、

市場が形成されている段階から参加できる

という点があります。

現在、

土地所有者、

不動産会社、

再エネ事業者、

EPC、

蓄電池メーカー、

アグリゲーター、

金融機関、

投資家

など、多くのプレイヤーが系統用蓄電池市場へ参加しています。

長期脱炭素電源オークションでも、実際に大規模な蓄電池案件が落札されています。

また国は2026年度も系統用蓄電池等の導入支援事業を予算措置しています。

市場が完成してからではなく、

市場が形成されている現在から情報を集め、実際の案件を比較する

ことには意味があると思います。

 

ただし「今しか買えない」と煽るつもりはありません

系統用蓄電池市場が今後どうなるかは誰にも断定できません。

設備価格が下がるかもしれません。

より高性能な蓄電池が登場するかもしれません。

市場競争によって収益性が低下する可能性もあります。

逆に、電力システムの変化によって蓄電池の活用方法がさらに増える可能性もあります。

だから、

「今買わなければ損をする」

という投資ではありません。

弊社がお伝えしたいのは、

「今、比較対象として知っていただきたい」

ということです。

 

一棟収益不動産を知っている投資家だからこそ比較してほしい

弊社は不動産会社です。

普段から、

一棟マンション、

一棟アパート、

一棟ビル

などの収益不動産を取り扱っています。

不動産には、

土地価値

賃料

融資

中古流通

出口価格

という長年形成されてきた市場があります。

高圧系統用蓄電池には、

電力市場

系統連系

設備性能

アグリゲーター

エネルギー政策

という別の価値があります。

どちらが優れているということではありません。

だからこそ、

同じ6億円を投資するなら、両方の資料を一度並べて比較してみる。

それだけでも新しい発見があるのではないでしょうか。

 

高圧系統用蓄電池の完成物件をお探しの方へ

弊社では現在、

高圧系統用蓄電池の完成引渡し物件

について、投資家様・事業会社様へのご紹介を行っています。

最近弊社へ入ってくる案件では6億円台以上となるものもあり、決して小さな投資ではありません。

だからこそ、

「高利回りだから買う」

ではなく、

「10年後・20年後まで考えて投資できるのか」

を一緒に確認していただきたいと考えています。

「まだ購入すると決めていない」

「まず販売資料を見てみたい」

「一棟収益不動産と比較してみたい」

「補助金採択案件を見てみたい」

「どのようなアグリゲーターが運用するのか知りたい」

といった段階でも結構です。

また、

投資家のお客様をお持ちの不動産会社・仲介会社様

からのご相談も歓迎しております。

 

まとめ|10年後・20年後を考えるからこそ「今」を見る

高圧系統用蓄電池は、

今だけ収益を生む設備なのか。

それとも、

10年後・20年後にも価値を持つ電力インフラなのか。

答えは、まだ市場が形成されている途中にあります。

しかし国のエネルギー政策を見ると、蓄電池は再生可能エネルギーの導入拡大を支える調整電源として重要な位置付けを与えられています。

一方で、

設備劣化

市場収益の変化

制度変更

設備更新

中古流通

など、長期投資だからこそ考えなければならないリスクもあります。

だからこそ、

購入時の想定利回りだけを見ない。

10年後の設備を見る。

20年後の電力市場を考える。

そして将来の買主まで想像する。

これが高圧系統用蓄電池を「投資」として考えるうえで重要なのではないでしょうか。

 

弊社レジスタでは、

土地

↓

権利付き土地

↓

完成物件

↓

運転

↓

将来の売却

まで、系統用蓄電池の流通に不動産会社として関わっていきたいと考えています。

高圧系統用蓄電池の完成引渡し物件をご検討の投資家様・事業会社様は、ぜひ一度お問い合わせください。

まずは「買う・買わない」を決める前に、実際の案件を見て比較していただければと思います。

※本記事は2026年9月時点の制度・市場環境を踏まえた一般的な情報です。将来の収益性、設備価値、売却価格、市場制度等を保証するものではありません。実際の投資に際しては、対象案件の設備仕様、系統関連資料、各種契約、補助金条件、収益シミュレーション等をご確認ください。

 

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