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キャップレート(還元利回り)とは?収益不動産の価格を判断する重要指標を解説
収益不動産の購入や売却について調べていると、「キャップレート」という言葉を目にすることがあります。
不動産会社や投資家の会話でも、
「このエリアのキャップレートはどのくらいですか?」
「キャップレートを4%で見ると、物件価格はいくらになりますか?」
といった使われ方をします。
しかし、表面利回りやネット利回りと比べると、キャップレートは一般の方には分かりにくい指標です。
また、計算式がNOI利回りと似ているため、
「キャップレートとNOI利回りは同じものなのか」
「利回りが低い物件は割高なのか」
と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。
今回は、収益不動産の価格を判断する際に重要となるキャップレート(還元利回り)について、その意味や計算方法、NOI利回りとの違い、実際の物件選びでの注意点まで分かりやすく解説します。

キャップレート(還元利回り)とは?
キャップレートとは、英語の「Capitalization Rate」を略した言葉です。
日本語では一般的に、還元利回りと呼ばれます。
簡単に説明すると、キャップレートは、
不動産から得られる将来の収益を、現在の不動産価格に換算するための利回り
です。
収益不動産の価格は、土地や建物の積算価格だけで決まるわけではありません。
その不動産が将来にわたってどれだけの収益を生み出すのかという観点からも評価されます。
この収益力を価格に置き換える際に使われるのが、キャップレートです。
キャップレートを使った不動産価格の計算方法
キャップレートを使った基本的な価格算定式は、次のとおりです。
不動産価格=NOI÷キャップレート
NOIとは、年間総収入から管理費や固定資産税などの年間運営費を差し引いた営業純利益です。
例えば、年間NOIが500万円、適用するキャップレートが5%の場合は、次のように計算します。
500万円÷5%=1億円
この場合、収益還元の考え方では、物件価格は1億円と算定されます。
同じNOIが500万円でも、キャップレートが4%の場合は、
500万円÷4%=1億2,500万円
となります。
キャップレートが3%の場合は、
500万円÷3%=約1億6,667万円
です。
つまり、同じ収益を生み出す不動産でも、適用するキャップレートによって評価額は大きく変わります。
キャップレートが低いほど不動産価格は高くなる
キャップレートと不動産価格は、反対の動きをします。
- キャップレートが低くなると、不動産価格は高くなる
- キャップレートが高くなると、不動産価格は低くなる
これは、キャップレートが不動産のリスクや収益の安定性を反映する指標だからです。
賃貸需要が安定し、資産価値が下がりにくいと考えられる不動産は、低い利回りでも購入したい投資家が多くなります。
その結果、価格が上昇し、キャップレートは低くなります。
反対に、空室や賃料下落、売却の難しさなどのリスクが高い不動産では、投資家がより高い収益を求めるため、キャップレートも高くなる傾向があります。
キャップレートは不動産の「リスク」を表す指標でもある
キャップレートは、単なる収益率ではありません。
その物件やエリアに対して、投資家がどの程度のリスクを感じているかを反映する指標でもあります。
例えば、次のような物件はキャップレートが低くなる傾向があります。
- 東京都心など賃貸需要が安定している
- 駅から近く、利便性が高い
- 土地の資産価値が高い
- 建物の管理状態が良い
- 長期的な入居需要が期待できる
- 売却時の買い手が見つかりやすい
- 金融機関の融資評価を得やすい
一方、次のような物件はキャップレートが高くなる傾向があります。
- 人口減少が進んでいるエリアにある
- 駅から遠く、賃貸需要が弱い
- 空室率が高い
- 建物の老朽化が進んでいる
- 多額の修繕費が見込まれる
- 土地の資産価値が低い
- 融資を利用できる買主が限られる
- 将来売却しにくい
利回りが高いということは、収益性が高いだけでなく、一定のリスクが価格に織り込まれている可能性があります。
なぜ東京都心のキャップレートは低いのか?
東京都心の収益不動産では、表面利回りやNOI利回りが3%台となる物件も珍しくありません。
一見すると、
「利回りが低すぎるのではないか」
「地方の高利回り物件の方が収益性は高いのではないか」
と感じるかもしれません。
しかし、都心の収益不動産は、現在の家賃収入だけでなく、次のような価値も含めて評価されています。
- 土地の希少性
- 安定した賃貸需要
- 将来の賃料維持への期待
- 再開発や都市機能の集積
- 金融機関からの評価
- 売却時の流動性
- 資産保全のしやすさ
- 相続や法人資産としての利用価値
これらの要素によって、投資家が求めるリスクプレミアムが小さくなり、キャップレートも低くなる傾向があります。
したがって、都心の利回り3%台の物件が、必ずしも割高とは限りません。
反対に、利回り8%の物件でも、賃貸需要や修繕リスク、出口戦略に問題があれば、投資対象として見送られることがあります。
キャップレートと表面利回りの違い
表面利回りは、年間家賃収入を物件価格で割って算出します。
表面利回りの計算式
表面利回り=年間家賃収入÷物件価格×100
計算が簡単なため、物件情報の広告やポータルサイトで広く使われています。
しかし、表面利回りには、次のような費用が反映されていません。
- 管理委託費
- 固定資産税・都市計画税
- 共用部の水道光熱費
- 清掃費
- 修繕費
- 損害保険料
- 空室や滞納による損失
一方、キャップレートを用いた収益価格の算定では、一般的にこれらの運営費を差し引いたNOIを使用します。
そのため、キャップレートは、表面利回りよりも物件の実際の収益力を反映しやすい指標です。
キャップレートとNOI利回りは何が違うのか?
キャップレートとNOI利回りは、計算式だけを見ると非常によく似ています。
NOI利回りの計算式
NOI利回り=NOI÷物件価格×100
キャップレートも、NOIと不動産価格の関係を表します。
そのため、取引時点における物件の価格とNOIを使って計算すれば、数値上はNOI利回りとキャップレートが同じになることがあります。
しかし、実務上は両者の使い方に違いがあります。
NOI利回り
NOI利回りは、対象となる物件のNOIと現在の価格を使って、その物件が現在どれくらいの収益性を持っているかを確認する指標です。
例えば、
- 物件価格:1億円
- NOI:400万円
であれば、NOI利回りは4%です。
現在の価格と収益を基に算出するため、物件同士の収益性を比較する際に使われます。
キャップレート
キャップレートは、対象エリアや物件の種類、築年数、立地、リスク、取引事例などを参考に設定し、適正な不動産価格を算定するために使う利回りです。
例えば、
- 想定NOI:400万円
- 適正と判断したキャップレート:4%
であれば、収益価格は1億円と算定されます。
整理すると、
- NOI利回りは、価格から収益性を見る指標
- キャップレートは、収益から価格を求める際に使う指標
という違いがあります。
ただし、実際の不動産売買では、両者が同じ意味に近い形で使われることもあります。
そのため、会話や資料の中で「利回り」という言葉が出てきたときは、表面利回りなのか、NOI利回りなのか、価格算定に使うキャップレートなのかを確認することが大切です。
キャップレートはどのように決まるのか?
キャップレートは、全国一律に決められているものではありません。
物件の立地や用途、築年数、収益の安定性など、さまざまな要素を考慮して判断されます。
主な判断材料は次のとおりです。
立地・エリア
都心部、駅近、人気エリアなど、賃貸需要や資産価値が安定している場所では、キャップレートは低くなる傾向があります。
反対に、人口減少や空室増加が懸念される地域では、高いキャップレートが求められます。
物件の用途
同じエリアでも、物件の用途によってリスクは異なります。
- 一棟マンション
- アパート
- オフィスビル
- 店舗ビル
- 倉庫
- ホテル
- 商業施設
一般的に、賃料収入が安定している用途ほどキャップレートは低くなり、景気やテナントの業績に左右されやすい用途では高くなる傾向があります。
築年数・建物状態
築浅で管理状態が良い物件は、修繕リスクが比較的小さいため、キャップレートが低くなる可能性があります。
築古で大規模修繕が近い物件や、設備更新が必要な物件では、投資家がより高い利回りを求める傾向があります。
テナント・入居者の状況
入居率だけでなく、入居者の属性や賃貸借契約の内容も重要です。
- テナントの信用力
- 契約期間
- 普通借家契約か定期借家契約か
- 賃料が相場に合っているか
- 保証会社の利用状況
- 滞納履歴
- 特定のテナントへの収入依存度
収入の安定性が高いほど、キャップレートは低く評価されやすくなります。
売却時の流動性
将来売却しやすい物件は、投資家にとってリスクが小さくなります。
東京都心の駅近物件や、金融機関から融資評価を得やすい物件は、購入できる買主が多いため、流動性が高くなる傾向があります。
直接還元法とは?
キャップレートを使って不動産価格を算定する方法を、直接還元法といいます。
直接還元法は、一定期間のNOIが将来も継続すると仮定し、そのNOIをキャップレートで割って収益価格を求める方法です。
直接還元法の計算式
収益価格=NOI÷キャップレート
計算が比較的分かりやすく、収益不動産の価格分析で広く使われています。
ただし、将来の賃料変動や大規模修繕、一定期間後の売却価格などを細かく反映することには限界があります。
将来の収入と支出を期間ごとに予測し、売却まで含めて分析する場合には、DCF法が使われることもあります。
キャップレートを使った価格判断の具体例
年間NOIが600万円の一棟マンションを例に考えてみます。
キャップレート3%の場合
600万円÷3%=2億円
キャップレート4%の場合
600万円÷4%=1億5,000万円
キャップレート5%の場合
600万円÷5%=1億2,000万円
キャップレートが1%違うだけでも、算定される不動産価格には大きな差が生じます。
そのため、売却査定や購入価格の検討では、どのキャップレートを採用するかが非常に重要です。
キャップレートを低く設定すれば価格は高くなり、高く設定すれば価格は低くなります。
根拠なく都合のよいキャップレートを設定すると、適正価格から大きく離れてしまう可能性があります。
売却査定でもキャップレートは重要
キャップレートは、収益不動産を購入する側だけでなく、売却する側にとっても重要です。
収益不動産の査定では、周辺の土地価格や建物価格だけでなく、現在の家賃収入や運営費、周辺の取引利回りなどを基に価格を検討します。
例えば、同じ立地・同じ規模の物件でも、
- 入居率が高い
- 賃料が相場に合っている
- 管理状態が良い
- 修繕履歴が明確
- 長期入居者が多い
- テナントの信用力が高い
といった物件は、収益の安定性が高いと判断され、低いキャップレートで評価される可能性があります。
キャップレートが低くなれば、同じNOIでも査定価格は高くなります。
つまり、日頃の賃貸管理や修繕、レントロールの整備が、将来の売却価格にも影響する可能性があるということです。
キャップレートを見るときの注意点
キャップレートは便利な指標ですが、数字だけで不動産の価値を判断することはできません。
NOIの計算前提を確認する
キャップレートによる価格算定の基礎となるNOIが正しくなければ、算定価格も適切ではありません。
次の点を確認する必要があります。
- 現況収入か満室想定収入か
- 想定賃料は周辺相場に合っているか
- 空室損失を考慮しているか
- 管理費や固定資産税を正しく計上しているか
- 修繕費を過小評価していないか
- 一時的な収入が含まれていないか
大規模修繕費は別途検討する
通常のNOIでは、外壁改修、屋上防水、給排水管、エレベーター更新などの大規模な資本的支出を、その年の運営費としてすべて差し引かないことがあります。
NOIが高く見えても、購入後すぐに大規模修繕が必要であれば、実際の投資成果は大きく変わります。
将来の賃料下落を考慮する
現在の賃料が相場より高い場合、入居者の退去後に賃料を下げなければならない可能性があります。
現在のNOIだけでなく、将来の賃料や空室率も想定する必要があります。
土地や建物の個別性を確認する
同じエリア、同じ用途の物件でも、次のような条件によって価値は異なります。
- 接道状況
- 土地形状
- 間口
- 高低差
- 容積率
- 用途地域
- 既存不適格の有無
- 再建築や建替えの可能性
- 越境や境界の問題
キャップレートだけでは、このような不動産固有の条件を完全には表せません。
キャップレートが低ければ安心というわけでもない
キャップレートが低い物件は、一般的に立地や資産価値、賃貸需要が高く評価されていると考えられます。
しかし、低ければ必ず安全というわけではありません。
例えば、
- 将来の賃料上昇を過度に織り込んでいる
- 物件価格が急激に上昇している
- 金利上昇によって資金調達環境が変わる
- 再開発への期待が先行している
- 購入後のキャッシュフローがほとんど残らない
といった場合には注意が必要です。
特に借入を利用する場合は、NOI利回りと借入金利との差だけでなく、元金返済後の手残りや、金利上昇時の返済余力も確認する必要があります。
キャップレートだけで物件を判断してはいけない
収益不動産を購入・売却する際は、キャップレートに加えて、次のような指標や条件を総合的に確認する必要があります。
- 表面利回り
- ネット利回り
- NOI・NOI利回り
- 積算価格
- 土地の一種単価
- レントロール
- 修繕履歴
- 将来の修繕計画
- 賃貸需要と空室率
- 金融機関の融資評価
- 借入後のキャッシュフロー
- 将来の出口戦略
キャップレートは収益不動産の価格を考えるうえで重要ですが、あくまで判断材料の一つです。
現在の収益性だけでなく、土地・建物の資産価値、融資条件、将来の売却しやすさまで確認することが重要です。
レジスタでは収益性と資産価値の両面からご提案します
レジスタでは、東京都23区を中心に、一都三県の収益不動産をご紹介しています。
売主様から直接依頼を受けた元付物件を取り扱う機会もあり、市場に広く公開される前の情報をご紹介できる場合があります。
物件をご提案する際は、広告に記載された表面利回りだけでなく、可能な範囲で次のような内容を確認します。
- 現況収入と満室想定収入
- NOIとNOI利回り
- キャップレートによる収益価格
- ネット利回りの計算条件
- 土地・建物の積算価格
- レントロールの内容
- 修繕履歴と将来の修繕リスク
- 周辺の賃貸需要
- 金融機関の融資評価
- 将来の出口戦略
同じ収入を得られる物件でも、立地、建物状態、賃貸需要、売却のしやすさによって適正なキャップレートは異なります。
数字だけでなく、その数字の根拠まで確認することが、収益不動産の適切な購入・売却判断につながります。
まとめ
キャップレート(還元利回り)とは、不動産が生み出すNOIを現在の価格に換算するために使われる重要な指標です。
基本的な計算式は、次のとおりです。
不動産価格=NOI÷キャップレート
キャップレートが低いほど不動産価格は高くなり、キャップレートが高いほど不動産価格は低くなります。
また、キャップレートには、立地、賃貸需要、建物状態、収益の安定性、売却時の流動性など、物件に対するリスク評価が反映されます。
NOI利回りと計算上は似ていますが、両者は次のように整理できます。
- NOI利回りは、現在の価格から物件の収益性を確認する指標
- キャップレートは、NOIから適正な不動産価格を算定する際に使う利回り
- 実務では同じ意味に近い形で使われることもあるため、計算前提の確認が重要
東京都心では、賃貸需要、土地の希少性、融資評価、売却時の流動性などが評価され、キャップレートが低くなる傾向があります。
そのため、利回り3%台だから割高、利回り8%だから有利と単純に判断することはできません。
収益不動産を検討する際は、キャップレートだけでなく、NOI、積算価格、修繕リスク、融資条件、将来の出口戦略まで総合的に確認することが大切です。
東京都23区を中心に収益不動産の購入・売却をご検討の方は、レジスタまでお気軽にご相談ください。
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