カテゴリー:
ROIとは?不動産投資での考え方|利回りとの違いや自己資金に対する投資効率を解説
収益不動産を購入する際、多くの方が最初に確認する数字が「利回り」です。
物件情報には、
「表面利回り4.5%」
「想定利回り5%」
などと記載されているため、収益不動産を比較する際の分かりやすい指標となっています。
一方、不動産投資について詳しく調べていくと、**ROI(アール・オー・アイ)**という言葉を目にすることがあります。
ROIは不動産だけで使われる言葉ではなく、企業経営や設備投資、広告・マーケティングなど、さまざまなビジネスの場面で利用されています。
不動産投資において重要なのは、
「物件がいくら稼ぐのか」だけでなく、「自分が投じた資金に対してどれだけの利益を得られるのか」
という視点です。
特に金融機関から融資を受けて一棟マンションや一棟ビルを購入する場合、物件価格全額を自己資金で支払うわけではありません。
そのため、表面利回りだけでは、投資家自身の資金効率を十分に把握できないことがあります。
今回は、収益不動産の購入を検討されている方に向けて、ROIとは何か、一般的な利回りとの違い、融資を利用した場合の考え方まで分かりやすく解説します。

ROIとは?
ROIとは、
Return on Investment(リターン・オン・インベストメント)
の略で、日本語では一般的に投資利益率と呼ばれます。
簡単に説明すると、
投資した資金に対して、どれだけの利益を得られたか
を表す指標です。
基本的な考え方は次のとおりです。
ROI=利益÷投資額×100
例えば、1,000万円を投資して年間100万円の利益を得られた場合、
100万円÷1,000万円×100=10%
となり、ROIは10%です。
非常にシンプルな指標ですが、不動産投資では「利益」と「投資額」に何を含めるかによって数値が変わるため、計算条件を明確にすることが重要です。
不動産投資におけるROIの考え方
不動産投資では、ROIを考える際に、
「自分が実際に投じた資金に対して、どれだけの利益を得られるのか」
という視点が重要になります。
例えば、1億円の一棟マンションを購入するとします。
しかし、1億円すべてを現金で支払うとは限りません。
金融機関から8,000万円の融資を受け、
- 自己資金:2,000万円
- 借入金:8,000万円
という形で購入することもあります。
この場合、投資家が実際に投じる自己資金は2,000万円です。
さらに、仲介手数料、登記費用、不動産取得税、融資関係費用などの購入諸費用を自己資金から支払う場合には、それらも投下資金として考える必要があります。
つまり、ROIを見ることで、
「1億円の物件だからどうか」ではなく、「自分のお金をいくら使って、いくらの利益を得られるのか」
という投資効率を考えることができます。
表面利回りとROIは何が違うのか?
ここが、不動産投資でROIを理解するうえで重要なポイントです。
表面利回り
表面利回りは、
年間家賃収入÷物件価格×100
で計算します。
例えば、
- 物件価格:1億円
- 年間家賃収入:500万円
であれば、
500万円÷1億円×100=5%
となります。
表面利回りは「物件価格に対して、どの程度の家賃収入があるか」を確認する指標です。
ここには管理費、固定資産税、修繕費、ローン返済などは反映されていません。
ROI
一方、ROIでは、
実際に投じた資金に対して、どれだけ利益を得られるのか
を考えます。
そのため、
- 自己資金
- 購入諸費用
- 運営費
- 借入条件
- 利益の定義
などを考慮して計算することになります。
整理すると、
表面利回り=物件そのものを大まかに比較する指標
ROI=投資した資金に対する投資効率を見る指標
と考えると分かりやすいでしょう。
NOI利回りとROIの違い
これまでの記事で解説したNOI利回りとも比較してみましょう。
NOIとは、年間総収入から不動産を運営するために必要な費用を差し引いた営業純利益です。
NOI利回りは、
NOI÷物件価格×100
で計算します。
例えば、
- 物件価格:1億円
- NOI:400万円
であれば、
NOI利回りは4%です。
NOI利回りは、借入条件に左右されず、物件そのものが持つ運営収益力を見るために適しています。
一方、ROIは投資家が実際に投じた資金を基準に考えるため、資金調達方法によって結果が変わります。
つまり、
- NOI利回り=物件の収益力を見る
- ROI=投資家自身の投資効率を見る
という違いがあります。
融資を利用するとROIはどう変わる?
不動産投資におけるROIを理解するうえで欠かせないのが、金融機関からの融資です。
具体例で考えてみましょう。
物件条件
- 物件価格:1億円
- 年間家賃等収入:600万円
- 年間運営費:150万円
- NOI:450万円
NOI利回りは、
450万円÷1億円×100=4.5%
です。
ここで8,000万円の融資を利用したとします。
仮に年間の元利返済額が300万円だった場合、
450万円-300万円=150万円
が、単純化した年間のローン返済後キャッシュフローとなります。
自己資金2,000万円だけを投下資金として単純計算すると、
150万円÷2,000万円×100=7.5%
となります。
物件自体のNOI利回りは4.5%ですが、自己資金を基準にすると7.5%になります。
これが、不動産投資で融資を利用する大きな特徴です。
※実際には購入諸費用、税金、臨時修繕、元金返済の扱いなども考慮する必要があります。
レバレッジ効果とは?
借入を利用することで自己資金に対する収益率を高めることを、一般的にレバレッジ効果と呼びます。
「てこの原理」に例えられる考え方です。
少ない自己資金で、より大きな不動産を取得し、その不動産から得られる収益を活用します。
不動産投資で融資が重視される理由の一つが、このレバレッジ効果です。
例えば自己資金5,000万円を持っている投資家が、
- 5,000万円の物件を現金で購入する
- 5,000万円を自己資金として融資を利用し、より大型の物件を購入する
のでは、運用できる資産規模が大きく異なります。
そのため、経験を積んだ不動産投資家ほど、
「いくらの物件を買うか」だけでなく、「自己資金をどのように配分するか」
を重視する傾向があります。
レバレッジをかければROIは必ず高くなるのか?
ここは非常に重要です。
借入を増やせば、必ず投資効率が良くなるわけではありません。
借入には、
- 金利
- 元金返済
- 融資手数料
- 金利上昇リスク
があります。
物件から得られる収益に対して借入コストが高すぎれば、キャッシュフローは悪化します。
さらに空室増加や賃料下落、大規模修繕などが発生しても、金融機関への返済は続きます。
つまりレバレッジには、
自己資金に対する収益性を高められる可能性
がある一方、
損失や資金繰りリスクも拡大させる可能性
があります。
「借りられるだけ借りる」のではなく、物件収益と返済負担のバランスを見ることが重要です。
ROIとCCR(自己資金配当率)は同じなのか?
不動産投資では、ROIと似た指標としてCCR(Cash on Cash Return)という言葉も使われます。
CCRは、
年間税引前キャッシュフロー÷実際に投じた自己資金×100
という考え方で計算されるのが一般的です。
例えば、
- 自己資金:2,500万円
- 年間税引前キャッシュフロー:150万円
であれば、
150万円÷2,500万円×100=6%
となります。
不動産投資の会話では、自己資金に対する年間キャッシュフローの割合を広い意味でROIと表現するケースもあります。
しかし厳密には、ROIはさまざまな投資に使われる幅広い概念であり、CCRは不動産投資における自己資金の回収効率をより具体的に見る指標です。
そのため、「ROIが10%」という数字を見た場合には、
分子の利益は何か、分母の投資額は何か
を確認することが大切です。
ROIの計算で購入諸費用を忘れない
不動産投資でROIを計算するときに注意したいのが、購入諸費用です。
1億円の物件を購入するために自己資金2,000万円を用意したとしても、実際にはそれだけで購入できるとは限りません。
例えば、
- 仲介手数料
- 登録免許税
- 司法書士報酬
- 不動産取得税
- 印紙税
- 融資事務手数料
- 保証料
- 火災保険料
- 固定資産税等の精算金
などが必要になります。
仮に頭金2,000万円に加えて購入諸費用700万円を自己資金で支払った場合、実際の投下資金は2,700万円です。
年間キャッシュフローが150万円なら、
2,000万円だけを分母にすると、
150万円÷2,000万円=7.5%
ですが、
実際の自己資金2,700万円を分母にすると、
150万円÷2,700万円=約5.6%
となります。
同じ物件でも、計算方法によって投資効率の見え方は大きく変わります。
「ROIが高い物件=良い物件」とは限らない
ROIも、数字が高ければ必ず良いというものではありません。
高いROIの背景には、高いリスクが存在することがあります。
例えば、
- 自己資金を極端に少なくしている
- 借入比率が高い
- 空室率を楽観的に設定している
- 修繕費を十分に見込んでいない
- 金利上昇を考慮していない
- 将来の賃料下落を考慮していない
- 売却価格を高く想定している
といったケースです。
自己資金を少なくすれば、計算上のROIは高くなる場合があります。
しかし、その分だけ借入依存度が高くなり、空室や修繕が発生した際の余裕は小さくなります。
ROIは高ければ高いほど良いのではなく、どの程度のリスクを取ってそのROIを実現しているのかを見る必要があります。
都心の低利回り物件でもROIの考え方は重要
東京都23区、特に都心部では、表面利回り3%台の一棟収益物件も珍しくありません。
表面利回りだけを見ると、
「もっと高利回りの物件を購入した方が良いのではないか」
と思われるかもしれません。
しかし、都心物件には、
- 土地の資産価値
- 安定した賃貸需要
- 空室リスクの低さ
- 金融機関からの評価
- 売却時の流動性
- 将来的な出口戦略
などのメリットがあります。
さらに融資条件が良ければ、低い利回りでも自己資金に対する投資効率が成り立つケースがあります。
逆に表面利回り8%の物件でも、融資期間が短かったり、金利が高かったり、多額の修繕費が必要だったりすれば、自己資金に対するキャッシュフローが十分に残らない可能性があります。
そのため、
「表面利回りが何%か」だけでなく、「自分が投じる自己資金が毎年どれだけ働くのか」
という視点が重要になります。
ROIを見るときは「利益」の定義を確認する
ROIには、すべての不動産取引で統一された一つの計算方法があるわけではありません。
特に注意したいのが、分子となる「利益」です。
例えば、
- NOIを利益とする
- ローン利息控除後の利益とする
- 元利返済後のキャッシュフローとする
- 税引前利益を使う
- 税引後利益を使う
- 売却益まで含める
など、目的によって計算方法が変わります。
したがって、
「この物件のROIは10%です」
という説明だけでは、十分ではありません。
何を利益として計算した10%なのか
を確認する必要があります。
同様に、分母についても、
- 頭金だけなのか
- 購入諸費用を含むのか
- 購入後のリフォーム費用を含むのか
によって結果は変わります。
購入時だけでなく売却まで考える
不動産投資の最終的な成果は、毎年の家賃収入だけでは決まりません。
例えば、10年間保有した場合には、
保有期間中の累計キャッシュフロー+売却時の手取り額
まで含めて投資成果を考える必要があります。
購入時にROIが高く見えていても、10年後に大幅に値下がりして売却すれば、投資全体としての成果は低くなる可能性があります。
反対に、毎年のキャッシュフローはそれほど大きくなくても、資産価値が維持され、売却時に元本を十分回収できれば、投資全体では良い結果になる可能性があります。
このように、収益不動産では、
インカムゲインとキャピタルゲインの両方
を見ることが重要です。
長期的な投資成果をより詳細に分析する場合には、IRR(内部収益率)という指標も利用されます。
ROI・CCR・IRRをどう使い分ける?
収益不動産の投資効率を分析する指標には、ROI以外にもさまざまなものがあります。
ROI
投資額に対してどれだけ利益を得られたかを見る基本的な指標です。
不動産以外の投資や企業経営でも広く利用されています。
CCR
実際に投じた自己資金に対して、年間のキャッシュフローがどの程度あるかを見る指標です。
融資を利用する不動産投資では非常に分かりやすい指標です。
IRR
保有期間中のキャッシュフローと最終的な売却まで含め、さらにお金を受け取る時期も考慮して投資収益率を算出する指標です。
長期保有を前提とした投資分析や大型不動産、不動産ファンドなどで利用されます。
つまり、
物件の収益性を見るならNOI利回り
自己資金の年間効率を見るならCCR
投資全体の基本的な効率を見るならROI
売却まで含めた長期的な投資収益率を見るならIRR
というように、目的によって指標を使い分けることが重要です。
金融機関はROIだけを見て融資するわけではない
投資家にとってROIは重要ですが、金融機関はROIが高いから融資するわけではありません。
金融機関では、
- 借入申込者の属性
- 自己資金
- 既存借入
- 返済実績
- 物件の収益力
- NOI
- 担保評価
- 積算価格
- 築年数
- 法定耐用年数
- 賃貸需要
- 返済後のキャッシュフロー
などを総合的に審査します。
投資家から見ると「自己資金を少なくしてROIを高めたい」と考える場面でも、金融機関から見ると自己資金が少なすぎることがリスクになる場合があります。
そのため、不動産投資では、
投資効率と融資評価のバランス
を考える必要があります。
レジスタでは「物件価格」だけでなく資金計画も重視します
レジスタでは、東京都23区を中心に、一都三県の収益不動産をご紹介しています。
売主様から直接ご依頼いただいた元付物件を取り扱う機会もあり、市場に広く公開される前の情報をご紹介できる場合があります。
収益不動産をご提案する際には、単純な表面利回りだけでなく、
- 表面利回り
- ネット利回り
- NOI・NOI利回り
- キャップレート
- 積算価格
- 自己資金
- 融資条件
- ローン返済後のキャッシュフロー
- ROI・CCR
- 修繕リスク
- 将来の売却価格
- 出口戦略
などを総合的に考えることが重要だと考えています。
同じ1億円の物件でも、自己資金2,000万円で購入する方と5,000万円で購入する方では、投資戦略は大きく異なります。
また、現在の1件だけを見るのではなく、今後2棟目、3棟目と資産を増やしていきたい方にとっては、自己資金をどの程度残しておくかも重要です。
収益不動産では、
「良い物件を買うこと」と「資金を効率的に使うこと」の両方
を考える必要があります。
まとめ
ROIとは「Return on Investment」の略で、投資した資金に対してどれだけの利益を得られるかを表す投資利益率です。
基本的な考え方は、
ROI=利益÷投資額×100
です。
不動産投資では融資を利用するケースが多いため、物件価格だけでなく、実際に投じる自己資金と得られる利益の関係を見ることが重要です。
収益不動産の代表的な指標を整理すると、
- 表面利回り:物件価格に対する年間家賃収入
- NOI利回り:物件価格に対する物件の営業純利益
- ROI:投資した資金に対する利益
- CCR:自己資金に対する年間キャッシュフロー
- IRR:売却まで含めた長期的な投資収益率
という違いがあります。
ROIが高いから良い物件、低いから悪い物件と単純に判断することもできません。
借入比率を高めればROIが高く見える場合がありますが、その分、返済負担や金利上昇、空室、修繕などに対するリスクも高くなります。
重要なのは、
「どれだけ儲かるか」だけでなく、「どれだけの自己資金を使い、どの程度のリスクを負って、その収益を得るのか」
を確認することです。
さらに、収益不動産では毎年のキャッシュフローだけでなく、土地・建物の資産価値、金融機関の評価、将来の売却価格まで含めて投資判断する必要があります。
東京都23区を中心に収益不動産の購入・売却をご検討の方は、レジスタまでお気軽にご相談ください。
※本記事は不動産投資に関する一般的な考え方を解説したものです。個別の投資判断、融資、税務等については、金融機関・税理士等の専門家にもご確認ください。
関連記事:
・表面利回りとは?高ければ良いわけではない理由|利回り8%でも買わない物件、利回り3%でも買う物件の違い
・ネット利回りとは?本当の収益性を知る方法|表面利回りだけでは見えない収益不動産の実力
・NOI・NOI利回りとは?プロの投資家が重視する収益指標|ネット利回りとの違いも解説
・キャップレート(還元利回り)とは?収益不動産の価格を判断する重要指標を解説
・DCF法とは?大型収益不動産の価格算定方法|収益還元法との違いも分かりやすく解説
レジスタ合同会社
東京都中央区日本橋人形町3-3-5天翔日本橋人形町ビル206
お問い合わせはこちら
宅地建物取引業免許 東京都知事(2)第101770号
建設業許可 東京都知事許可(般-6)第150822号
【運営サイト】
コーポレートサイト
レジスタの賃貸サイト
テナントショップ人形町
外国人技能実習生賃貸ナビ
不動産売却LP
【SNS】
X(旧ツイッター)
Facebookページ
インスタグラム
