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IRR(内部収益率)とは?不動産投資の本当の収益性を売却まで含めて考える方法
収益不動産を購入する際、多くの方がまず確認するのは「利回り」ではないでしょうか。
物件情報には、
- 表面利回り
- ネット利回り
- NOI利回り
などが記載されており、物件同士を比較する重要な指標となっています。
また、投資した自己資金に対してどれだけ利益を得られるかを見る「ROI」や「CCR」という指標もあります。
しかし、不動産投資は1年間だけで終わるものではありません。
5年、10年、20年と物件を保有し、その間に家賃収入を得て、最終的には物件を売却するケースが一般的です。
そこで重要になるのが、
IRR(内部収益率)
という考え方です。
IRRでは、
購入時にいくら投資し、保有期間中にいくらキャッシュフローを得て、最後にいくらで売却できるのか
まで含めて投資全体の収益性を評価します。
さらに重要なのが、
「いつお金を受け取るのか」
まで考慮する点です。
今回は、不動産投資で知っておきたいIRRについて、ROIや利回りとの違いも含めて分かりやすく解説します。

IRRとは?
IRRとは、
Internal Rate of Return(インターナル・レート・オブ・リターン)
の略で、日本語では内部収益率と呼ばれます。
簡単に説明すると、
投資期間全体を通じて、投資した資金が年率何%程度で運用されたことになるのか
を表す指標です。
不動産投資の場合、
- 購入時の自己資金
- 毎年のキャッシュフロー
- 保有期間中の追加投資
- 最終的な売却代金
など、投資に伴う一連のお金の出入りを考慮します。
IRRの最大の特徴は「お金の時間的価値」を考えること
IRRを理解するうえで、最も重要なのがお金の時間的価値です。
例えば、
今日100万円を受け取ることと、
10年後に100万円を受け取ることは、
同じ価値でしょうか。
一般的には、今日受け取る100万円の方が価値が高いと考えます。
今日受け取れば、
- 預金する
- 株式へ投資する
- 別の不動産へ投資する
- 事業資金として使う
など、すぐに運用できるからです。
また、インフレによって将来のお金の購買力が下がる可能性もあります。
IRRは、このようなお金を受け取るタイミングの違いまで考慮します。
単純な利益率では分からない違い
例えば、2つの不動産投資があったとします。
A物件
5年間で合計1,000万円の利益を得られる。
B物件
同じく5年間で合計1,000万円の利益を得られる。
合計利益だけを見ると、同じ投資成果に見えます。
しかし、
A物件では、
- 1年目から毎年200万円ずつ利益が出る
一方、
B物件では、
- 1~4年目の利益はほとんどなく
- 5年目の売却時にまとめて1,000万円の利益が出る
としたらどうでしょうか。
A物件では早い段階から利益を受け取れるため、その資金を再投資できます。
IRRでは、この違いを反映します。
つまり、
同じ利益額でも、早くお金を回収できる投資ほどIRRが高くなる傾向があります。
不動産投資のIRRでは何を計算する?
不動産投資では、一般的に次のようなお金の流れを設定します。
購入時
まずマイナスのキャッシュフローが発生します。
例えば、
- 頭金
- 仲介手数料
- 登記費用
- 不動産取得税
- 融資関係費用
- リフォーム費用
などです。
仮に合計3,000万円の自己資金を投入すれば、
0年目:▲3,000万円
として考えます。
保有期間中
毎年、
家賃等収入-運営費-ローン返済等
によるキャッシュフローが発生します。
例えば、
- 1年目:+200万円
- 2年目:+220万円
- 3年目:+230万円
- 4年目:+240万円
というように設定します。
売却時
最後の年には通常のキャッシュフローに加え、物件売却による資金回収があります。
例えば5年目に、
- 通常のキャッシュフロー:250万円
- 売却代金から借入残高や売却費用を差し引いた手取り:3,500万円
だった場合、
5年目のキャッシュフローは、
+3,750万円
となります。
IRRでは、こうした一連のお金の流れを使って投資全体の収益率を計算します。
IRRを具体例で考えてみる
例えば、収益不動産を購入するために3,000万円の自己資金を投資したとします。
5年間のキャッシュフローが次のようになったとします。
購入時
▲3,000万円
1年目
+200万円
2年目
+220万円
3年目
+230万円
4年目
+240万円
5年目
通常キャッシュフロー250万円
+売却による手取り3,500万円
合計3,750万円
このようなキャッシュフロー全体を基に、
現在価値の合計がゼロになる割引率
を求めたものがIRRです。
数学的には少し難しく感じますが、実際の投資分析ではExcelや不動産投資シミュレーションソフトなどを使って計算するのが一般的です。
大切なのは計算式そのものより、
「購入から売却までのすべてのキャッシュフローを時間軸に沿って評価する」
という考え方です。
IRRとROIの違い
前回の記事でご紹介したROIは、
投資額に対してどれだけ利益を得られたか
を見る指標です。
基本的な考え方は、
ROI=利益÷投資額×100
です。
ROIは非常に分かりやすい一方、
その利益を何年かけて得たのか
という時間の概念が十分には反映されません。
例えば、
投資A
1,000万円を投資して5年後に500万円の利益
投資B
1,000万円を投資して10年後に500万円の利益
単純なROIだけで見れば、どちらも50%です。
しかし、500万円の利益を5年間で得るのと10年間で得るのでは、投資効率は異なります。
IRRでは時間を考慮するため、一般的には投資Aの方が高いIRRとなります。
整理すると、
- ROI:投資額に対してどれだけ利益を得たか
- IRR:いつ利益を得るかまで含めた投資期間全体の収益率
という違いがあります。
IRRとCCRの違い
CCR(Cash on Cash Return)は、
実際に投じた自己資金に対して、1年間でどれだけキャッシュフローを得られるか
を見る指標です。
例えば、
- 自己資金:3,000万円
- 年間税引前キャッシュフロー:180万円
なら、
CCRは6%です。
CCRは、購入後の年間キャッシュフローを見るには非常に分かりやすい指標です。
一方、売却時の利益までは通常含めません。
そのため、
- CCR:毎年の自己資金に対するキャッシュフロー効率
- IRR:保有期間中+売却まで含めた投資全体の効率
という違いがあります。
IRRとNOI利回りの違い
NOI利回りは、
物件そのものの収益力
を見る指標です。
計算式は、
NOI÷物件価格×100
です。
購入者が現金で買うのか、融資を使うのかによってNOI利回りは変わりません。
一方、IRRは投資家が実際に投じる自己資金や融資条件、売却時の手取りなどを基に計算します。
したがって、
- NOI利回り:物件を見る指標
- IRR:投資全体を見る指標
と整理できます。
表面利回り3%台でもIRRが高くなる場合がある
東京都心では、表面利回り3%台の収益不動産も珍しくありません。
表面利回りだけを見ると、
「投資効率が低いのでは?」
と思われるかもしれません。
しかし、IRRでは保有期間中の収益だけでなく、売却まで考えます。
例えば都心の物件では、
- 土地の資産価値が維持されやすい
- 賃貸需要が安定している
- 賃料下落リスクが比較的小さい
- 金融機関から良い条件で融資を受けられる
- 売却時の買主候補が多い
- 物件価格が維持・上昇する可能性がある
などの条件があります。
購入時の利回りが低くても、5年後や10年後に高い価格で売却できれば、投資全体として高いIRRになる可能性があります。
逆に、表面利回り8%の物件でも、売却時に価格が大きく下落すれば、IRRは低くなることがあります。
ここでも、
「利回り8%だから良い」「利回り3%だから悪い」とは単純に判断できない
ことが分かります。
IRRでは出口戦略が非常に重要
IRRを大きく左右する要素の一つが、売却価格です。
不動産投資では、保有期間中の家賃収入だけでなく、最後にいくらで売却できるかによって投資成果が大きく変わります。
例えば、1億円で購入した物件を10年間保有した場合でも、
- 8,000万円で売却する
- 1億円で売却する
- 1億2,000万円で売却する
のでは、IRRは大きく異なります。
そのため購入前から、
- 何年間保有するか
- 将来誰が買うのか
- 金融機関が次の買主へ融資できるか
- 築年数はどうなるか
- 土地価値は維持されるか
- 建物の修繕状況はどうなるか
- 周辺賃料は維持できそうか
といった出口戦略を考えておくことが重要です。
売却価格はどう想定する?
IRRシミュレーションでは、将来の売却価格を設定する必要があります。
その際には、例えば、
- 将来のNOI
- キャップレート
- 周辺取引事例
- 土地価格
- 建物の築年数
- 修繕状況
などから売却価格を想定します。
例えば、10年後の想定NOIが600万円で、出口キャップレートを4%と想定すれば、
600万円÷4%=1億5,000万円
という価格を一つの目安として考えることができます。
ただし、10年後の不動産市場を正確に予測することはできません。
そのためIRRを検討するときは、
- 強気シナリオ
- 標準シナリオ
- 弱気シナリオ
など、複数のケースで確認することが有効です。
出口キャップレートを低く設定しすぎない
IRRシミュレーションで特に注意したいのが、出口キャップレートです。
キャップレートが低いほど、計算上の売却価格は高くなります。
例えば10年後のNOIが500万円の場合、
キャップレート3%
約1億6,667万円
キャップレート4%
1億2,500万円
キャップレート5%
1億円
となります。
わずか1%の違いでも、売却価格は大きく変わります。
購入時より建物は10年古くなっています。
そのため、
「購入時のキャップレートが3.5%だから、10年後も3.5%」
と安易に設定すると、売却価格を楽観的に見積もる可能性があります。
IRRは出口価格の前提によって大きく変わるため、慎重な設定が必要です。
大規模修繕もIRRに影響する
不動産投資では毎年一定の利益が出るとは限りません。
例えば、10年間の保有期間中に、
- 外壁改修
- 屋上防水
- エレベーター更新
- 給排水設備更新
などで1,000万円の支出が発生することがあります。
その年のキャッシュフローが、
通常+200万円だったとしても、
修繕費1,000万円が発生すれば、
▲800万円
となります。
IRRはこうした将来の追加投資も反映できます。
そのため、築古の一棟マンションやビルを比較する際には、単純な表面利回りよりも投資の実態を把握しやすくなります。
減価償却とIRRは別の視点
不動産投資では減価償却による節税効果も重要です。
ただし、IRRを計算するときに税引前キャッシュフローを使うのか、税引後キャッシュフローを使うのかによって結果は変わります。
税引後IRRを計算する場合には、
- 減価償却
- 所得税・法人税
- 売却時の譲渡益
- 建物と土地の取得価格
- 売却時の帳簿価額
なども影響します。
そのため、より詳細な投資判断をする場合には税理士等と相談しながらシミュレーションすることが重要です。
融資条件によってIRRは変わる
同じ物件でも、
- 自己資金
- 借入金額
- 金利
- 融資期間
- 元金返済方法
によって、投資家のIRRは変わります。
例えば、自己資金を少なくして融資を多く利用すると、自己資金ベースのIRRが高くなるケースがあります。
これは前回ご紹介したレバレッジ効果です。
しかし、借入を増やすほど、
- 金利上昇
- 空室
- 修繕
- 賃料下落
が発生した場合の返済リスクも高くなります。
IRRが高い=安全な投資
ではありません。
どの程度のリスクを取ってそのIRRを実現しているのかを確認する必要があります。
IRRはどのくらいなら良いのか?
「IRRは何%なら良い物件ですか?」
という質問もあります。
しかし、IRRに絶対的な基準はありません。
求めるIRRは、
- 投資家の目的
- 物件の立地
- 資産の種類
- 投資期間
- 融資条件
- リスク
- 他の投資商品の期待収益率
などによって異なります。
例えば、
東京都心の安定した収益不動産と、
地方の高利回り築古アパートでは、
投資家が求める収益率も異なります。
リスクの高い投資ほど、高いIRRを求めるのが一般的な考え方です。
重要なのは、
「IRR○%だから買う」ではなく、そのIRRをどのような前提条件で計算しているか
を確認することです。
IRRの弱点は「前提条件次第」で数字が変わること
IRRは優れた指標ですが、万能ではありません。
将来の、
- 賃料
- 空室率
- 修繕費
- 金利
- 保有期間
- 売却価格
を予測して計算します。
当然ながら、これらの前提を変えればIRRも変わります。
例えば、
「10年後に1億5,000万円で売却できる」
という想定で高いIRRが出ていても、実際には1億円でしか売却できなければ、投資成果は大きく異なります。
したがってIRRを見る際は、
結果の数字以上に計算の前提を見ること
が重要です。
ROI・CCR・IRRを整理すると?
似た指標が多いため、最後に整理してみます。
ROI
投資額に対する利益率
投資全体の効率を簡単に確認する指標です。
CCR
自己資金に対する年間キャッシュフローの割合
融資を利用する不動産投資で、自己資金が年間どれだけ働いているかを見る指標です。
IRR
購入から売却までのキャッシュフローと時間を考慮した収益率
長期間の投資成果を比較する際に有効です。
さらに、
NOI利回り
物件価格に対する物件そのものの営業純利益
キャップレート
NOIから適正な不動産価格を判断する際に使う還元利回り
となります。
それぞれ目的が違うため、一つの指標だけで物件を判断するのではなく、組み合わせて分析することが重要です。
レジスタでは購入時から出口まで考えた物件選びをサポートします
レジスタでは、東京都23区を中心に、一都三県の収益不動産をご紹介しています。
売主様から直接ご依頼いただいた元付物件を取り扱う機会もあり、市場に広く公開される前の情報をご紹介できる場合があります。
収益不動産をご提案する際には、単純な表面利回りだけでなく、
- 表面利回り
- ネット利回り
- NOI・NOI利回り
- キャップレート
- ROI・CCR
- IRR
- 金融機関の融資評価
- 積算価格
- 修繕計画
- 土地の資産価値
- 将来の売却価格
- 出口戦略
まで含めて総合的に考えることが重要です。
収益不動産は、
「買ったときの利回り」だけで結果が決まる投資ではありません。
家賃収入を得ながら、将来どのような価格で売却できるかまで考えることで、初めて投資全体の収益性が見えてきます。
まとめ
IRR(内部収益率)とは、購入時の投資額、保有期間中のキャッシュフロー、最終的な売却まで含めて、投資期間全体の収益性を年率で評価する指標です。
IRRの大きな特徴は、
「利益はいくらか」だけでなく、「いつその利益を得るのか」まで考慮すること
です。
不動産投資の代表的な指標を整理すると、
- 表面利回り:物件価格に対する年間家賃収入
- NOI利回り:物件価格に対する物件の営業純利益
- ROI:投資額に対する利益
- CCR:自己資金に対する年間キャッシュフロー
- IRR:購入から売却までの時間を考慮した投資収益率
となります。
IRRは非常に有効な指標ですが、将来の賃料や修繕費、売却価格などの予測によって結果が大きく変わります。
そのため、
IRRの数字だけを見るのではなく、「どのような前提でその数字になっているのか」を確認することが重要です。
収益不動産を検討する際は、現在の利回りだけでなく、融資条件、修繕リスク、土地・建物の資産価値、そして出口戦略まで考えたうえで投資判断を行いましょう。
東京都23区を中心に収益不動産の購入・売却をご検討の方は、レジスタまでお気軽にご相談ください。
※本記事は不動産投資に関する一般的な考え方を解説するものであり、特定の投資成果を保証するものではありません。個別の投資・融資・税務については、必要に応じて金融機関、税理士等の専門家へご確認ください。
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